原作まもうさSSログ


本格的に夏が到来して数日、梅雨明けしてから待った無しに猛暑が遅い来る。
毎日の茹だるような暑さに流石のうさぎも参っていた。
そんなある日、この暑さでやられて喉後かわいていたうさぎは学校の帰り道にある自動販売機でジュースを買おうと立っていた。
何を買おうか吟味しつつ財布の中身をチェックすると小銭で残り77円。自動販売機のジュースは最低でも100円。

「はぁ~……足りない」

うさぎのお小遣いは月1500円。貰えば直ぐにほとんど使ってしまう。
そこに加えてこの暑さだ。毎日この調子で自動販売機で学校帰りにジュースを買うと言う無駄使いをしていた。
そして期末テストの点数も悪く、臨時収入と言う道も途絶えていた。
これまでか、と思い家に帰って飲む方が早いと帰ろうとした時、不意に後ろから手が伸びて小銭を入れるのに気づき、うさぎは後ろを向いた。

「あ、アンタは!」
「よ!お団子!飲まないのか?」
「アンタには関係無いでしょ!」
「ふーん、金がないんだろ?」
「違うわよ!飲みたい物が無いだけよ!」

近頃よく会う嫌味な奴こと、地場衛の登場についつい売り言葉に買い言葉で言い争いになり、見栄を張ってしまった。

「何がいい?」
「ソルティライチ!…ってえぇ?」

やっぱりな、と言う顔をしながらソルティライチを選ぶと蓋を開けて飲み始める。

「ん、美味い!喉が潤う」

意地悪くうさぎを見ながら美味しそうに飲む衛。
それを見ながら、やっぱりくれる気無いじゃないの!ケチ男!と心の中で悪態を着くうさぎ。

「ん」
「何よ?」
「やるよ、喉乾いてんだろ?」
「見栄張ってらしくないぜ?それに俺のせいでお団子が熱中症になって死なれたら寝覚め悪いだろ。素直に貰っとけ」
「あ、りが、と……」

リクエストのソルティライチの残りのペットボトルを渡され、驚きつつ飲もうとしたうさぎだが……。
(こ、これってもしかして、もしかしなくても……か、間接キスって奴じゃない!?どーしよー……でも、喉乾いてるし、今のやり取りで余計体力使って水分蒸発してるし……よし!仕方ない、ええい!)

間接キスになる事に躊躇するものの、喉の乾きには勝てず意を決して飲もうと口を付けゴクゴクと飲み始める。

「ぷはぁ~生き返ったぁ~」
「そりゃあ良かったな」

勢いで間接キスしちゃった、と思う反面、乾いた喉に潤いが戻ってきたうさぎは満足していた。

「うん、助かった。今度お礼させて」
「別にいいよ、ジュースくらいで」
「そーゆーワケにはいかないっしょ?」
「じゃあ期待せずに待っておくよ」

最後まで嫌味を言うのを忘れず、去っていく衛の後ろ姿を見ながら頬を赤らめ間接キスに思いを馳せていた。



おわり

2年前のキスの日に書いたお話でした。

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