恋人がサンタクロース
うさぎは衛の行動には嬉しく思っていたが、知っている衛の行動とは違うと違和感を少し覚えていた。
「この前会った時、うさこが言ってたろ?」
どうして夜這いの様な大胆行動に出たか?それをゆっくりと衛は説明し始めた。
それは、この前のデートでの事ーーー。
「あの日のタキシード仮面、特に素敵だったなぁ~」
そううさぎが言葉を漏らしたのを、衛は詳しく問いかけた。
まことが戦士として目覚めたあの日、ピンチのまことを知らせに来たタキシード仮面。どうして知り得たのかこの時は衛と重なっていなかったうさぎは、自身の家の窓を開けて入ってきた。
半年前の話ではあったが、インパクトは抜群で衝撃が強く覚えていて、その事をうさぎは衛に語って聞かせた。
「私の事、何でもお見通しで、もしかして?なんて自惚れちゃった」
タキシード仮面である事を隠していた時の事とは言え、自身である事に違いは無いが、極上の笑顔で語るうさぎに、過去の自身に衛は嫉妬を覚えた。
過去でもあれはまだ衛と言う事を明かしていなかった時期。そんな時のタキシード仮面を嬉々として“素敵”だと言われ、いい気がしなかった。
「ちゃんとうさこにタキシード仮面が俺だと認識した上で喜んで欲しかったんだ」
つまりは過去の自分への嫉妬からなる行動だった。うさぎに経緯を説明しながら衛は、我ながら心が狭いと感じていた。
何の考えもなかったわけは無いが、必死で起こした過去の行動でここまでの事をしてしまうとは。うさぎに対してそんなにも深く愛しているなど考えもしなかった。
付き合ってまだそれ程月日も、デートも重ねていない。それでも、こんなに愛おしく感じているのは、やはり前世での出来事が起因しているのだろう。
今度こそうさぎとちゃんと幸せになりたい。それは衛にとってささやかでも何でもない。絶対的本気の願いだった。
うさぎを抱き締め、決意を新たにしたその時だった。
「アンタたち!にゃあーーーにやってんの?」
部屋中に甲高い声が響き渡る。
その声の方向へと顔を床に落とした。
そこに居たのは、うさぎの相棒の黒猫のルナだ。
「ル、ルナ!?」
「帰ってきちゃったの?」
「そりゃあ帰ってくるわよ!ここは私の家でもありますからね」
ルナがここに住んでいることを忘れていた衛は、素っ頓狂な声で驚く。
うさぎはと言えば、クリスマスが近いからと言う事でルナは連日夜な夜なパトロールをしていて、ここの所スレ違い生活を送っていた。その為、今日も帰ってこないと思っていたが、今日に限ってまさかの帰宅。甘い雰囲気が一転。一気に現実へと引き戻された。
「はぁ……それにしても衛さん。あなたって、本当に夜這いが好きねぇ……」
やれやれと肩を竦めて呆れた様子でルナはため息をついた。
「あ、ハハハハ……面目ない」
ルナの言葉に返す言葉も無い衛は、力無く応える。
そう、あの時の行動は、勿論ルナも目撃していて鮮明に思い出していた。あの時とは違い、恋人となってはいるが、まだ中学生の部屋に夜中に不法侵入。見過ごせない。
「まさか、パトロール先より自分の家が危ないなんて考えてもなかったわ。灯台もと暗しよ」
「すまない」
「ごめんなさい」
「浮かれるなとは言わないけど、節度を持って御付き合いしなさい!」
パトロールハイになっていたルナに、この後小一時間程二人は説教を受け、寝たのは丑三つ時。
最高から、最悪の初めてのクリスマスの幕開けとなる。
翌日の朝、10時待ち合わせだったが、うさぎだけではなく衛も遅刻をし、デートは遅めのスタートとなった。
おわり
20221225 クリスマス
🌙🌙あとがき🌍🌍
ルナに怒られると言うオチを付けてしまい、すみませんでした💦
半年前にこの話の大まかな所だけ降りてきていたのですが、ルナは出す予定にしていませんでした😅
まもちゃんのサンタ姿は、約4年前に終了してしまったセーラームーンドロップスのこちらのサンタキ様をモチーフにしております😆
本当は旧作設定でのサンタキ様だったと思うのですが、やはり私は原作5話のあの犯罪やろ!と言ううさこの部屋に侵入する事件🤣とリンクするところがありすぎた為、半年前にこの話を思い付き、今回執筆した次第です。
ルナには二人を咎める役割をして貰い、色々酷いかと思いますが「ルナが不憫」とか「まもうさが可哀想」とどうか思わないで頂きたいです。
あくまで原作に沿って書いているので。
後付けとして、遅くにデートを始めた二人、もっと一緒にいたいとまもちゃん家にお泊まりする事に!と言うのが私の頭の中で物語が続いていますが、それはまた温かい支援(スキ!や感想)がありましたら、来年書けたらと思っております☺
ここまで読んで頂き、ありがとうございますた😊