原作まもうさSSログ
『昼寝』
学校が終わり、いつもの様に衛の家へ遊びに来たうさぎ。
ソファーに隣同士で座っているにも関わらず、衛は眼鏡をかけ本を読みふけっている。
また本に夢中になっている頭のいい恋人に自分にもっと関心を持って欲しくてちょっかいをかけようとかけている眼鏡を外してみたり、話しかけたりしてみるも全く動じない。
「あたし、その本になりたい!」
ちょっと怒りながら大きな声で拗ねてみると漸く本から目を離してうさぎの方を向く衛。
「急にどうした?」
「だってまもちゃんいつも本ばっか読んでて私に構ってくれないんだもん!いっその事本になりたい!」
「本にヤキモチか?うさがいるから安心して本が読めるんだぜ。俺にはうさしか見えてないから」
読んでいた本を閉じ、うさぎに向き合う衛は愛おしそうにうさぎの頭を撫でて安心させようとする。
「まもちゃんズルい!」
本を読むのをやめた衛はうさぎの膝に頭を置いて寝転んできた。
急に膝枕にされたうさぎは驚きながらも衛の頭を撫でる。
「うさの膝枕が1番落ち着くし、癒される」
「もうまもちゃんったら甘えん坊さんなんだから」
「いい匂いがする。うさの匂いだ。安心する」
そういいながらうさぎの温もりと匂いに安心し、すやすやと眠りについてしまった。
自分を放ったらかしにして眠りについてしまった恋人の唇にイタズラにキスをするうさぎだったが、肝心の衛は全く起きない。
「まもちゃんは眠り姫ね」
恋人の寝顔を見ていると自分も眠くなってしまい、いつの間にか眠りについてしまった。
おわり
『待ち合わせ』
「まもちゃ~~~~ん」
待ち合わせの時間をとっくに過ぎ、慌ててうさぎが走ってくる。
毎日毎日これの繰り返しで飽きないなと衛は呆れる。
こうなると分かっているのだからもっと早く起きる様目覚ましをかけておけばいい様なものだが、性格だから仕方の無い事なのだろう。
現に彼女には起こしてくれる家族が5人もいる。なのに起きられない。何を言っても無駄だと言うものだろうが、小言を言いたくなる。
「うさっ」
そう声をかけようとした時だった。
ドテッ
「いったぁ~~~~~い」
衛の姿を確認して気が緩んだのか、うさぎは目の前で盛大にコケてしまった。
派手に転んでしまい、大泣きし始める。
小言を言おうとした衛だが、彼女の泣き顔を見て心配になり、駆け寄る。
「うさ、大丈夫か?」
「うっ、まもちゃん……膝が痛いよぉ」
うさぎを支え、近くのベンチに座らせる。
膝を見ると両膝共擦りむき、流血している。確かに結構痛そうだ。
「大丈夫だ!俺が治してやるから、泣き止め」
優しく宥めると、自身のヒーリング能力を解放し、うさぎの膝を治してやる。
見る見るうちに傷口が治り、痛みも引いてきた。
「よし、治った」
「……まもちゃん、ありがとう。ごめんね。こんなドジで、怪我ばっかして、心配かけて……こんな彼女、嫌だよね?」
遅刻した上に走って転んだことで、いつも以上にうさぎは凹んでいた。
中学三年生になっても相変わらずな自分に嫌気がさしていた。
「何言ってんだよ。そんなうさが俺は好きなんだ」
「でも、あたし戦士なのにドジして怪我ばっかするし……身体中傷だらけで、全然綺麗じゃないもん!そんな彼女嫌でしょ?」
「身体中傷だらけなのはうさがいつも戦士として頑張って来たからだろ?弱いのとドジで出来たものじゃない。」
元来うさぎはドジで、よく転び傷だらけになる。
戦士をしてもそれは相変わらずで、注意散漫と緊張感のなさからか毎日くらい転んでいる。ある意味才能と言ってもいいかも知れない。
「でも……私、戦士なのにみんなみたいに強くないし」
「うさは充分強いよ。戦闘で足でまといになるのはうさがプリンセスで護られるべき存在だからだ。俺の方が肝心なところで全く力になれない」
「そんな事ない!まもちゃんがいつも傍にいてくれるから私は戦えるんだよ!まもちゃんは、私にとって必要な人だよ」
セーラームーンになった最初の日から励まし、支えてくれたタキシード仮面はうさぎにとってはヒーローそのものだった。
もしあの時、叱咤激励されなければ挫けて戦う事が出来なかったかもしれない。
それ程うさぎにとって大きな存在だった。
いつもピンチの時に助けてくれる衛を、うさぎは信頼していた。無くてはならないかけがえのない存在だ。
「うさ……ありがとな」
「ううん、こちらこそだよ」
泣いて落ち込んでいたうさぎに衛は唇を重ねる。まるで互いに力を分け与えるかのように。
「うさは綺麗だよ。でも出来れば俺の目の前で怪我してくれると助かるよ」
「どうして?」
「すぐに怪我を治してやれるだろ?うさの怪我を直すのは、俺だけの特権。だろ?」
「うん、出来るだけそうするね」
先程衛に治癒力で完璧に治った膝を擦りながらうさぎは、怪我をするのは衛がいる時だけにしようと誓った。
END
2021.11.13
いい膝の日