金木犀に誘われて
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まもちゃんとのデートの最中、良い匂いがして導かれるようにその方向へ走り出した。
金木犀が満開に咲いていて凄くいい香りを醸し出していて嬉しくなった。
まもちゃんと付き合ってもう長いのにタイミングを逃し続けて全然一緒に見られなくてやっとだったから。
それだけじゃない。
前世での果たせなかった約束がやっと果たせた気がして。
遠い前世の記憶…
それはいつもの様に地球に降り立ちエンディミオンに会っている時交わした約束。
君に見せたい花があると言って教えてくれたのが“金木犀”だった。
その時はまだ咲いていなくてどんな花なのかエンディミオンが説明してくれた。
「とても小さな花なんだけど、蕾の時から良い匂いがしてね?満開だと更に良い匂いがするんだ」
きっと君が気にいると思うんだけど、いつも咲く時期がバラバラで期間もとても短くて儚く脆い花だからタイミングが合うかは分からないし一緒に見たいけど期待は出来ないと寂しそうに微笑んで言うエンディミオン。
「まぁ、花から良い匂いがするなんて素敵ね!どんな香りか楽しみだわ」
そう言って楽しみにしていたのに…
この年もその次の年も永遠に見ることは叶わなかった。
セレニティとして金木犀を見ることを許されず、生まれ変わっても中々まもちゃんと見られなかったから禁忌を侵してエンディミオンと付き合っていた事をまだ神に許されていないのかなって思って悲しくなったりもした。
前世は会える日が限られていたから仕方ないとは思いながらも、やっぱりエンディミオンと金木犀が見たかったなぁ~って思ってたからいつも散った後にしか行けなかったことは本当に残念だった。
さすがに現世でもここまでタイミング逃し続けて一緒に見られないとは思ってもなかったけど。
だからやっと一緒に見られることに嬉しくなってつい大はしゃぎしちゃった。
そんな事を思いながら振り向くとキツく抱きしめられたかと思ったら、唇を重ねてきていきなり深くキスをされて戸惑ったけどとても幸せな気持ちで心が満たされていく。
いつも以上に長いキスの後、まもちゃんから星野の名前が出てきて意外すぎてビックリした。
そっかー金木犀って聞くとキンモク星を連想するんだね?
私は前世での約束の事があったから全く考えつきもしなかったなぁ。
いつだって私の頭の中はまもちゃんでいっぱいなの。
どんな些細な出来事でもまもちゃんと一緒に過ごせたらって思ってるから。
おわり