原作まもうさSSログ


『運命の出会いの始まり(まもうさ)』

幻の銀水晶を探す為、タキシードに身を包み宝石店を回る日々。
次の宝石店を物色していると、一件の宝石店が目に止まる。
そこから制服に身を包んだ女が一人、出て来た。
気にも止めていなかったが、何やらポイ捨てしたのが顔面、目の辺りに当たる。
何か飛んでくるなんて考えてもいなかった為、避ける事もしていなかった。
単純に危ない。紙だから万が一擦れたら顔に傷がつくし痛い。
俺が当たった場所は目だ。当たり所が悪ければ失明しかねない。
幸いサングラスをかけていたから大事には至らなかったが、その為のサングラスでは無い。じゃあ何のためのサングラスだと言われても返答に困るが……。
相手の女は気づいてない様子。これは文句の一つも言ってやらなければ腹の虫も収まらない。

「痛いじゃないか、そこのたんこぶアタマ。オレにまでたんこぶ作る気か?」
「こっ、これはたんこぶじゃなくてお団子って言うのよっ!お団子ってっっ!」

俺が話しかけた事で漸く俺の存在に気付いた制服の女はいきなり凄い勢いでキレて来た。
キレたいのはこっちなのだが?
たんこぶアタマと言ったのが気に入らなかった様子。たんこぶ以外には見えなかったが、お団子か……。
何をポイ捨てしたのか紙を広げて絶句した。
30点の英語の答案用紙。バカなんだな。
まぁ道に捨てようとするくらいだから何も後先は考えてなさそうだが……。

「30点?もっとべんきょーしろっ!お団子アタマ」

そのまま30点の答案用紙を突き返してやる。

「よっ、よけーなおせわよっっ!」

捨て台詞を吐いてそのまま怒りながら去って行った。
決して余計なお世話では無い。ただ単純に壊滅的な点数に、思っていた事を言ったまで。
それにしても騒がしい奴だったな。まるで嵐みたいな、台風の目のような、そんな奴だった。
行動が全く読めない女。そんな第一印象を持った。周りにはいないタイプだ。
少々ペースは乱されたが、気を取り直して物色するとしよう。

「ーーでかい宝石店じゃないか。ここにならあるかも、な。“幻の銀水晶”が」

そうして今日も俺は宝石店で幻の銀水晶探しをする。
失われた大切な過去を取り戻す為にーー。




おわり

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