愛は盲目
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「何が起きてるんだ?」
「一体何の騒ぎだよ?」
「一応聞いてあげるけど、何なの?」
残りの四天王も義務的にとても面倒くさそうに現れる。
「漸く来たか…」
渋々現れた同僚を見て呆れるクンツァイトは状況を説明する。
「丁度いい所に現れたわ!今、2人を力強くで止めようかと考えていた所よ」
「で、それで俺たちの出番だと?」
「そうだ。理解が早くて助かる」
「勘弁しろよ。恋愛のゴタゴタに巻き込まれたくねぇ…」
「本当、付き合ってらんないわ」
「まぁそう言うな」
乗り気では無い3人を必死に説得するクンツァイト。
キングとデマンドを見ると冷戦状態で一触即発、今にもまた戦いが始まってもおかしくない状態だった。
「一体どうしたんだ?」
「何を騒いでらっしゃるの?」
「状況を分かりやすく説明おきかせ願えますか?」
ヴィーナス以外の内部太陽系戦士も漸く揃い踏みである。
「皆の衆、グッドタイミングだ!そこのやる気なく帰ろうとしているバカ亭主共を説得して欲しい」
「どういう事だ?」
「うちのバカ亭主が言葉足らずでごめん!クイーンを巡ってキングとデマンドが戦ってるのを力強くで止めようと四天王に協力を仰いだんだけど、嫌がって帰ろうとしてるから説得してジュピター達も一緒に止めて欲しいの」
「バカ亭主とは何だ?バカにバカなどと言われたくないぞ!」
「先にバカ亭主って言ったのはクンツァイト、お前だぞ!俺らに謝れ!」
「すまない」
「内輪揉めしてる場合じゃないっしょ?」
「取り敢えず私、いい考え浮かんだから一旦パレスに戻るわ。必ず戻って来るから心配しないで待っててちょうだい」
「出来るだけ早く戻ってきてね?なるべく時間稼いでおくけど…」
何やら不敵な笑みを浮かべてゾイサイトはクリスタルパレスへと戻って行った。
「アイツ、何する気だ?」
「さあ?計り知れないね!マーキュリーならゾイサイトの考え分かるんじゃ無いか?」
「さあ?私もさっぱり皆目見当もつかないわ」
「マーキュリー、マーベラス!」
その間も尚も緊迫状態のキングとデマンド。
睨み合いながらも会話は聞こえていたデマンドは、まさかクイーンを呼びに行ったのでは無いか?と淡い期待をしていた。
キングの方もクイーンが来てしまうのではないか?と懸念し、最悪の事態を恐れた。そう、ゾイサイトはそう言う性格だと昔からの好で熟知していた。
「待たせたわね、みんな!」
数分後、ウインクをしながら爽やかに戻ってきたゾイサイトの横を見ると、ピンクのドレスを身をまとったピンク頭のレディ・セレニティだった。
そしてその後ろにはレディ付きの守護戦士、カルテットの4人も事情を聞き、万が一の時に備え護衛として着いてきた。
「パパ、馬鹿な事は止めて?ママが悲しむわ。私も悲しい…」
「レディ…くぅっ」
愛娘を連れて来るなんて、想定外の出来事に反則だと意気消沈して臨場体制を解き、戦いを止めることにした。
「すまない。好きなようにするといい」
「分かればいい。今日はもう帰るとする」
張り詰めた空気でどっと疲れたのか素直に帰ろうとするデマンド。
だが、視線の先には騒ぎやレディを呼びに来たゾイサイトの焦る顔を見て何事なのかと心配になり、様子を見に来た所に戦いが収束した。
その心配そうな顔をチラと見ただけでデマンドはとても満足だった。
そしてデマンドはネメシスへと帰って行った。
その後、デマンドはクイーンに渡し損ねたミンティアBREEZEを食べながら愛しのクイーンを思うのであった。
おわり