原作エンセレSSログ



『早く、地球へ』

はやく、はやくあの人に逢いたい。

月の下、私の憧れの地、地球で待つあの人に。

はやる気持ちを抑えきれず、かけ出す私。

ヴィーナス達の監視や静止、厳しい包囲網を潜り抜け、やっとの想いで抜けて来たの。

もう夜も深けて遅くなってしまったけれど、ただ一目だけでも良い。早く逢いたい。

その想いだけで突き動かされ、急いで地球へと舞い降りる。

約束の時間はとっくに過ぎたけれど、あの人はきっと待っていてくれているはずだから。

たった一人の私の愛する人、エンディミオン。

あなたを想うだけで、胸が暖かく、そして苦しくなる。

はやく逢いたい

急いで駆け出した先にエンディミオンが見えた

どれだけ遅くなっても待ってくれている。

微笑み、手を広げ、優しく出迎えてくれていた。

「エンディミオンッ!!」

大好きな人の名を呼びその胸に飛び込む

「セレニティ」

私の名前を優しく呼び、暖かく包み込んでくれ、ホッとする

どちらともなくキスをする

逢えなかった時間を埋めるかのように、恋人の時間を堪能す

やっぱり待ってくれていた、愛しい人とのひととき

ギュッときつく抱き締められ、彼の不安が体を伝い、感じ取れる

来るのが遅くなってしまったことで、彼をこんなに不安にさせてしまっていたなんて……

ううん、それだけじゃないわね

エンディミオンの一番の不安、それは……

私がもう来ないんじゃないかって事。

私だって不安を抱えている。

いつ逢えなくなるか、いつ来る事を禁止されるか?怖くて怯えているの。

月と地球、時の流れも全く違う私たちの恋は、本当は会う事も許されない禁断の恋だから……。

けれど、こうして2人逢っている時だけは、その事は忘れたい。

2人で過ごす時間だけは、せめて幸せな時間を過ごしたい。

エンディミオンの腕の中、守護戦士達に後ろめたさを感じながらも、幸せを噛み締める。

初めて恋をした、ただ一人の愛しい貴方。

エンディミオン

その名を呼ぶだけで、考えるだけで心がぽかぽかする。

こんな好きになれる人は現れない。

永遠の恋人の腕の中、一時の幸せに身を任せる。

大好きよ、エンディミオン。

声にならない想いを胸に、幸せなひと時を噛み締める。





おわり

20240705 セーラームーンCrystal配信から10周年

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