素敵な彼氏
side うさぎ
私、月野うさぎ19歳。大学一年生。
実は私、まもちゃんと同じ大学に通ってまーす♪
まもちゃんと一緒にキャンパスライフを送りたくて、受験勉強頑張っちゃいました!
今は後期の講義を、何と!まもちゃんと一緒に受けてるの♡
えへへぇ〜、羨ましいでしょう?
隣にまもちゃんがいるなんて、幸せ♡
え、なんで一緒に受けれているのかって?
それは遡ること10日ほど前のこと。後期のカリキュラム表をまもちゃんの家でお互いににらめっこしている時の一コマ。
まもちゃんの何気ない一言から始まった。
「うさ、必須科目ってもう取ったか?」
「ううん、まだだよ〜。なんで?」
まもちゃんからの問いに、カリキュラム表から目を離すこと無く、心ここにあらずに答える。
「実は俺もまだ取ってないんだよな」
「へ〜、そーなんだ。しっかりしてるのに意外」
まもちゃんは大学四年生になっていた。医大生は六年行くとはいえ、この時期にまだ必須科目を取っていないのは遅すぎる。
しっかりしているまもちゃんが、なんでこの時期まで履修していないのか、不思議だった。
「呪いで寝込んだり、留学したりで取れなかったんだ」
「あっ……」
そうだった。大学に入学してからまもちゃんはまともに大学に行けずにいた。元気になったら海外留学。確かに取る時間ないや。
「全学部共通の必須科目ってあるだろ?」
「うん、何個かあるね」
私とまもちゃんは学部が違う。
だけど、大学側が全学部の学生全員に受けて欲しい講義があると入学した後のオリエンテーションで言っていたのをチラッと聞いた気がする。
でも、それがどうしたんだろう?
「俺とうさで一緒に受けないか?」
「え?一緒にって、そんな事って出来るの?」
「可能だ。同じ時間帯の必須科目を二人合わせて取るんだ。出来るか?」
「頑張って組み立ててみる!」
まもちゃんと一緒に講義が受けられる。その可能性に、私は提案に乗ろうと必死で考えようとカリキュラム表とにらめっこを再び開始した。
「うさは何で前期取らなかったんだ?」
「うん、単純に色々取っておきたいものを考えてたら入れられなかっただけ。後、新しく出来た友達とも何個か一緒に受けようってなって」
「くすっ、うさらしいな」
「でも、今回はまもちゃん優先!友達とも取るけど」
「無理するなよ」
「ありがとう。へーき」
全学部共通の必須科目は全部で五つあった。
今回はまもちゃんと色々検討した結果、一つだけ一緒に取る事になった。
そして冒頭に話は戻るってわけ。
今日がそのまもちゃんと一緒の講義の初回。
隣同士で座っているから、当然だけど隣にまもちゃんがいて、講義を一緒に受けている。
教授の話なんて当然耳に入って来ない。
嬉しすぎてまもちゃんをチラチラ見ちゃう♡
うふっ、講義を受けている横顔のまもちゃんもかっこいい♡
だけど、不満。当然だけど、まもちゃんは前ばかり向いていて私を見てくれない。
私はこんなにもまもちゃんに視線を送っているのに。不公平!むぅー!うさ、怒っちゃうぞ!
あっ!メモ帳に何か文字を書き始めた。
……なになに?
“コラッ!講義に集中しろ!”
だって!何それ〜(涙)
まもちゃんが言い出しっぺなのにぃ〜!
私と一緒に講義受けて楽しくないのぉ?
ひどいよぉ〜、私ばっかりぃ〜!
って、講義中だから仕方ないけど……
まだ講義は始まったばかり。
これから毎週、振り向いて貰えるように、うさ、頑張る!