アルルナダイアナSSログ


『月を見上げて』


黒猫のルナはこの日、月を見上げて物思いにふけっていた。
満月ではなかったけれど、綺麗な三日月が空の星たちを先導するかのように一際優しく輝いていた。

「月へ行きましょう!」

そう宣言し、提案したこの日はルナ自身も一大決心だった。
ずっと探していたプリンセスがセーラームーンとして戦わせていたうさぎだったこと。
自分自身の記憶が負担軽減の為に一部封印されていた事で最悪な形でのプリンセスを覚醒させてしまった。
後悔しても後の祭りなのは分かっていたが、月に行く事で何かヒントがあるかも知れない。そう感じていた。

プリンセスが覚醒した事により、前世の記憶が蘇ってきたとはいえ、まだまだ分からないことが多い。それはみんなも同じ事だと感じ取った。

「あたし何にも分からない。知らないの。どうしたら……」

敵のアジト、幻の銀水晶の秘密、何も分からないと泣いて訴えるうさぎを見て改めて月へ行く事の大切さを実感した。

全ての秘密はきっと月にある。
あたし達の王国シルバーミレニアム、あたし達の前世、そして幻の銀水晶。
全ての秘密を知る為に。
月へ。

全ての秘密が解けるなんて正直、保証なんてどこにもない。
だけど何もせず地球(ここ)でこうしていても始まらないし、何も進展しない。そう感じた。

この提案に乗ってくれるかは正直賭けみたいなところがあったけど、みんなが快諾してくれてホッとした。
何より、この提案によって、ずっと泣いていたうさぎちゃんは少し元気を取り戻し、前を向こうとするきっかけになったみたいで、一先ずホッとした。

「そうと決まったら準備ね!決行は次の満月の夜が良いわね」

今すぐは行けない。そう判断して、次の満月に行く事を決めた。
きっとみんな心の準備や整理が必要と思ったから。
今日は三日月。次の満月まではまだまだ時間がある。

正直、今の月がどうなっているかは分からない。
全ての秘密が解ける保証も無い。
だけど行ってみないと分からない。
きっと必ず何かヒントがある。
何か得られる。そう確信していた。

全てのキーが眠る月を見上げ、前世に思いを馳せて期待をよせて来たる満月の夜の旅立ちを思い描くルナなのだった。




おわり

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