その金平糖はとても苦い
side ダイアナ
30世紀からスモールレディを追ってここに来たけど、衛様とうさぎ様と違ってパパちゃまとママちゃまは恋仲の関係じゃ無かった。
てっきり衛様とうさぎ様の様に普通に付き合ってるものだと思っていた。
いつも一緒だし、互いに信頼し合ってる風にも見えた。
決して嫌いと言うわけでも無いけど、好きどおしって訳でも無い感じ。
私から見るとパパちゃまがママちゃまの尻に敷かれてるって感じに見える。
でもお付き合いはまだみたいで、所謂、友達以上恋人未満って奴みたい。
付き合ってないって分かったのはママちゃまに好きな人が出来たって知ったから。
それまでは付き合ってると思ってたから、私の勘違いみたいだった。
そっか、ママちゃまはパパちゃまじゃないんだね……?
でもパパちゃまはママちゃまの事が本当に好きだって見てて分かる。
辛そう。それを見てると私も辛い。
ママちゃまとパパちゃまが付き合ってないなら私は、私の存在は……ナニ?
「パパちゃま……」
「ダイアナ、ごめんな?心配かけて……不甲斐ない父親でガッカリしたろ?ママの気持ち一つ繋ぎ止められないんだからさ。不安になるよな?自分が産まれる未来があるのかって……」
自分が一番辛いはずなのに私の事まで気にかけてくれていて、とても心が痛い。
それでもママちゃまを責めたりせず、黙って見守るパパちゃまは心が広くて暖かい、男の中の男って感じがした。
しかもママちゃまが好きな金平糖まで買って来てプレゼントしたり、ママちゃまの分まで頑張って敵の捜査してたりして、偉いなって思った。
「ママちゃま……」
「ごめんね、ダイアナ。アルテミスじゃなくて違う人を好きになってしまって……。未来が変わってしまうかもしれないわね」
こっちの世界に来て見たことも無い顔で私に謝ってきた。
苦しそうな顔で、私の顔を見る事もなく。
きっと合わせる顔が無くて、とても申し訳ない気持ちになっているのだろうなと思うの。
だけど、私にはどうする事も出来ない。
パパちゃまもママちゃまも、私が存在している事で苦しんでいるのかもしれない。
プレッシャーとかあるのかな?
「ダイアナ、大丈夫?」
「スモールレディ……」
私も辛そうな顔をしていたのか、スモールレディが優しく声をかけてくれた。
「パパちゃまとママちゃま、どうなっちゃうのかな?」
「ダイアナ……辛いね?」
30世紀では確かに私はパパちゃまとママちゃまの間に産まれて存在している。
だけど、この世界から正当に2人が恋人になり、私を授かるかなんて分からないし、保証も無い。何なら平行世界の可能性だってある。
もしかすると私たちが来た事で未来や過去が変わってる可能性も考えられる。
こればかりはどうする事も出来ないし、人の心もコントロール出来るわけじゃない。
どうなるかは黙って見てるしかない。
「2人を信じて待つしか無いね!」
「そうだね、黙って見守ろう!」
黙って見守る愛の形だってあるんだって、未来でプルートが教えてくれた言葉を思い出した。
パパちゃまがまさに今その状態なんだって思う。
パパちゃまが何も言わないなら、私もママちゃまに何も言わないよ。
この先、ママちゃまが他の人を好きになった様にパパちゃまも同じ様に違う人を好きになる事があるかもしれない。
ママちゃまだってまたパパちゃま以外の人を好きになるかもしれない。
この先2人がどんな決断をしても私は受け止めるから。
だから私の事はこの先も気にせず自分の気持ちを大切にしてね!