希望の香りがする場所(みらい)へ


「プリンス、ご挨拶が遅れ、誠に申し訳ございません。私は、キンモク星の丹桂王国第一皇女、火球と申します」
「こちらこそ、挨拶出来ずすみません。地球国の第一王子、エンディミオン。今の名前は地場衛と言います。うさを、セーラームーンを助けて頂き、ありがとうございます」
「いいえ、私の方こそ励ましてもらって。結局力尽きてしまって……。」
「きっと心強かったと思います。彼女は一人じゃ戦えないから。みんなの力があってこそ本来の力を発揮するから。」

流石は未来の伴侶。彼女の事は何でも知っているのね。
セーラームーンも、こんな彼に愛されて幸せね。
私も、ゼウスが戻って来てくれてとても幸せ。

「先程挨拶したのは私のフィアンセですわ。この3人はキンモク星の守護戦士で、セーラースターファイター、セーラースターヒーラー、セーラースターメイカー。3人を総称でスターライツと呼んでます」

一人一人紹介する。名前を呼ばれた者が順番に会釈をする。

「私たちはもうそろそろ旅立とうと思います。感動の再会に水を指した形になってごめんなさいね、セーラームーン」
「いいえ、声掛けてくれて嬉しかったです。無事な姿が見られて、良かった」
「ありがとう、セーラームーン。そして、守護戦士の皆さんも。会えて良かった」
「私もです。あの、えっと……どちらへ?故郷のキンモク星に?」
「はい、帰ってみようと思います。死の星に変えられてしまったけれど、私たちが無事なんですもの。きっと何とか復興出来るわ」

そう、私たちがいる限り、何度だってやり直せる。
私たちの可能性を、セーラークリスタルを信じているから。

「そうですね!私たちが生きてる限り星は輝き続けるし、何度だってやり直せるよね!」
「ええ、メイカーとヒーラーの力があれば復興なんてすぐよ!ファイターは……ちょっとそう言うのには向かないけれど笑」
「ああ~プリンセス酷い!……ってまぁ、確かに苦手分野ではありますが」
「どっちかって言うとファイターは破壊のが得意だもんね」
「くれぐれも、手伝わないで頂きたいものです」
「2人とも酷くない?」
「まぁ確かに、毎回何かしら壊してはヒーラーを困らせてるしな」
「ゼウス様まで……」
「そっちも大変なのが一人、いるようだな」
「うちにも破壊神みたいな人、一人いるから分かるよ」
「はるかさん、まこちゃん?それ、誰の事?」
「言われなきゃ分からない?あんたの事よ、美奈!」
「レイちゃんまで酷くない?私は破壊神じゃありません!愛と美の女神です」
「まぁそう言う事にしときましょうか」
「せつなさん(涙)」
「美奈子お姉ちゃん面白い♪」

最後の会話はファイターとヴィーナスの破壊の話で和やかに、笑いに包まれていた。
私が振ってしまったようなものだけれど。
結果、みんな笑顔になれたのだからこの話題も報われたかしら。

「それでは皆さん、この辺で御機嫌よう」
「また、平和な地球に遊びに来てくださいね♪」
「ええ、是非!セーラームーン達も、キンモク星へ是非いらして」
「もっちろん!」
「それから……」

プリンセスとプリンスを交互に見る。

「あなた方がクイーンとキングになるその日、戴冠式にも、是非出席させて頂きたいわ♪」
「その未来を選んだら、是非!」

どんな未来を選ぶかは私たちが決められる。
約束された未来を選んでも、選ばなくても、それは私たち次第。

「私たちの戴冠式にも是非、ご出席して下さいね♪」
「はい、是非ですぅ~」
「それではまた!」
「さよなら」

太陽系の皆さんと別れをした私たちはギャラクシー・コルドロンから彗星の様にキンモク星へと旅立った。無数の星々と一緒に。

故郷であるキンモク星がどうなっているかは不安もある。
けれどこうしてみんな揃って帰れる。
それが何よりも嬉しく、幸せ。
5人いれば、例え死の星でもセーラークリスタルの力で復興出来る。
そして、丹桂王国いっぱいに広がる金木犀の香りに包まれながら、また、新しい人生を始めよう。

セーラームーン達が来ても恥ずかしくないよう、輝く星にしてみせるわ。

未来を信じて、可能性を胸に私たちはキンモク星へと帰路に着いた。




おわり

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