あなたへ誓う気持ち
12月5日、今日は私の誕生日だ。
この日、私は毎年両親の墓参りをすると決めている。
産んでくれたこと。ここまで成長できた事。その報告を兼ねて感謝を伝えに。
両親は私が幼い時に飛行機事故で死んでしまった。
それ以来、ずっと親戚の家で暮らしていた。
中二のある日、失恋の悲しみから十番中学に転校。
そこでセーラー戦士として目覚める。
敵と戦う使命を持ったけど、うさぎ達と楽しい日々を送る毎日。満たされてた。
私の誕生日は期末テストが近い。
その為、事前に祝って貰ってる。
今頃みんなはテスト勉強で必死になってるんだろうな。なんて思いながらほんの少しだけ罪悪感に苛まれつつ、両親が眠る墓地へと朝から向かっていた。
「父さん、母さん、今年も来たよ」
両親の墓の前に来てそう2人に話しかける。勿論、答えは帰ってこない。
「今年も、無事一つ大人になったよ」
もう、あの頃の面影もないほど成長していた。まだまだ成長途中だけど。
「実は私、戦士やってんだ。で、一度死んだんだけど、無事戻ってこられたんだ」
戦士として誇りを持ち、覚悟の戦死。
後悔なんて全くしていなかった。
私には両親もいなかったから。
寧ろ、死んだら会えるんじゃないかって思っていたくらいで。
でも結局はうさぎのお陰でもう一度、木野まこととしての人生を生きる事になった。
「会えるかとちょっと期待したけど、死んだの一瞬過ぎて会えなくて残念だったな」
だけど、この姿で2人に会っても分かって貰えないか?結構成長したもんなぁ。
仮に会って「誰?」とか言われたら、ショックかも。再転生出来て良かった。
「戦士仲間も4人と猫2匹がいるんだ。みんなそれぞれ性格とか違うから楽しいよ」
近況報告も色々しとかなきゃな。
「期末テストで忙しいからさ、連れてこられなかったけど。みんなすげぇいい奴らなんだ」
いつか連れてこられたら良いな。勿論、彼氏も。
まぁどっちもまだまだ無理だけど。
「産んでくれて、ありがとう。楽しい人生、送って行くよ!戦士でもあるけど、両立頑張るよ」
色々話をしながら墓標を綺麗にして行く。
「じゃあね、また彼岸にお参りしに来るよ」
一通りの近況報告を済ますと、お墓を後にする。
流石に朝も早く、墓参りの時期じゃないから誰もいないな。と思いながら空を見上げ、そそくさと後にした。
今日は昼から雨だって天気予報士が言っていた。その通り、空は段々曇って来た。
今年はもう1つ、行きたい所があった。
雨が降ってくる前に、行けたらとそこに向かう。