男の手料理大作戦!


まことの作る手料理はどれもこれも上手くて満足度が高い。プロになれるレベルの絶品料理の数々。
そんな彼女はいつも作り手で作ってもらうということがまず無いし、ましてやそんな発想にもならないようで、作ってあげる事に生きがいを感じているようだ。

そんな彼女の誕生日は少しでも休んでもらおうと「男の手料理」を作って祝ってやろうと考えた。
でも食う専門で作る事をほとんどしてこなかった俺は料理のイロハから分からん。
そこで料理教室へ通おうと考えた。
が、調べて行く過程で挫折した。色々とハードルが高い。ムリ!俺には無理!

料理が得意な親しい友人はいない。
そう言うのが得意なのはまことだしなぁ…と途方に暮れているとそう言えばうちのリーダー何でも卒なくこなすよな?と思い料理も教えて貰えるのでは?と考えが浮かんだ。

早速電話をして料理が出来るか聞いてみると困らない程度に簡単なものなら出来ると返ってきた。
まことの誕生日に手料理振る舞いたいから教えて欲しいと説得するとそう言う事なら仕方が無いと渋々承諾してくれた。
君斗の都合のいい日に何度か教えてもらい、基本的な技術と知識は身に付いた所でまことの誕生日当日を迎えることとなった。

前世からの持ち前の世話焼きの性格のお陰で助かったが、君斗の彼女の美奈子ちゃんには彼氏をずっと借りて申し訳ない事をした。
今度何か埋め合わせしないとな…。

まことには当日は何もせずに家にいろと事前に伝えていた。

スーパーで材料を購入してまことの家に行くと言い付け通り何もせずに待っていたが、期末テスト前にもかかわらずいつも以上に片付けが行き届いた部屋を見てテスト勉強してないんだなと勉強嫌いな彼女に呆れる。

「まこと~誕生日おめでとう!今日はお前の為に男の手料理ご馳走するぜ」

「ありがとう♪ってお前、料理作れたっけ?」

「まぁな。座って待っててくれ」

「でも…手伝うよ?」

「今日はまことの誕生日だろ?主役は何もしなくていいの!」

期末テストも近いんだからテスト勉強でもして待ってる様言うと嫌がりながらも大人しく席に着いたのを見てホッとして、さて始めるか!と気合いを入れてエプロンをつける。

料理を作り始めると心配そうにリビングからまことがチラチラ見てくる気配がする。そんなに心配か?

「やっぱり手伝おうか?」

「いいよ。俺一人で作りたいんだ。座って待っててくれ」

人に作ってもらう事が無かったのもあるのだろう。兎に角心配して手伝いたがる。仕方ないとは言え、じっとしていられないは性分なんだろうか?
リーダーと同じで姉御肌の世話焼きってとこなのか?

四苦八苦しながらも何とか料理は完成するが、その間も心配そうにまことがチラチラ見ていた事は分かっていたが手伝いたいのをギリギリの理性で抑えてくれているようだった。
聖母マリア様のように見守っていてくれてありがとな、まこと!

料理を一通りしてみて改めてこんな手間暇かかる大変な事をいつもしてくれていることに感謝だ。

皿に盛り付けしてテーブルに運び、改めてまことの誕生日を祝う。

「誕生日おめでとう!まぁまことの手料理に比べると色々劣るけど、お前への愛はいっぱい込めて作ったから、食ってくれ」

「勇人…ありがとう」

お礼を言うまことの目からは涙が溢れていた。
涙を流しているまことを見て、俺も胸がいっぱいになり、喜んでくれているまことが愛しくなる。
込み上げてくるものがあり、目頭が熱くなって気づけば俺ももらい泣きしていた。

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