現世ネフまこSSログ




『二人で見る夢(ネフまこ)』


「え、キッチンカー!?」

それは、お互いの将来の夢について話していた時だった。
初めてという訳ではなく、付き合ってから幾度と無く話して来た題材。大切なこと。
だからと言うやけでは無いが、事ある毎に話して来た。
付き合った当初は、互いに変わらず目標に向かっていっていた。
それが年月を重ねると互いがいる未来が当たり前になり、二人で何か出来ないだろうかと自然とどちらともなく考えていた。
その答えが、先程のまことの発言を受けての勇人の驚きである。
突然の事では無いが、意外な結論に単純に驚きを隠せ無かった。

「どう、かな?」

勇人の驚きで、まことはおずおずと質問をした。
勿論、まことの夢をいつも応援してくれる勇人だ。反対されるとは思っていない。
それでも意外な提案に、どんな反応が返ってくるか。まことは不安だった。

「うん、いんじゃね?」
「ホント?」
「ああ、楽しそうだ」

前向きな勇人の返答に、まことの顔に笑顔が広がった。

「だろ?二人で色んな場所に行けるし」
「ドライブデートになるな」
「まあ、仕事なんだけどな」
「でも二人の時間が出来る」

運転は当然勇人で、料理やデザートを作るのはまこと。
運転手と言う手間をかけてしまうのは申し訳ないとは思ったが、勇人は運転が好きな事もあり、乗り気だ。
それどころかデートと言ってのける始末。この男、どこまで色ボケするのだろうか?
とは言え、前向きに捉えられ、まことは安堵した。

「花屋もキッチンカーか?」
「出来なくは無いだろ?」

花屋は配達も多い。色んなところに行けるなら好都合だった。

「と言ってもキッチンカーは週末とか、勇人が忙しくない時だけと考えているんだ」

キッチンカーをやりたいと考えはしたものの、閃いただけでまだ具体化していない。
勇人の反応を見つつ、二人でブラッシュアップして作り上げていこうと考えていた。そう、これは二人の夢なのだから。

「フルでも良くね?」
「でも店も持ちたいからな……」

まことは常々、自分の好きが詰まった店を持ちたいと思っていた。
当然、勇人も承知で、支援を惜しまないと言っていた。そこに甘えようと考えていたが、キッチンカーも楽しそうだと思ってしまったのだ。

「はは、まことは欲張りだな」
「仕方ないだろ!やりたい事や好きな事が多いんだ」
「良いぜ!全部俺が叶えてやっから!」
「頼もしいな!頼りにしてるよ、CEO」

いつもまこと一人だけの夢だった。
それが当たり前の事だと思っていた。
人に頼らず夢を実現させる。
戦士として死と隣り合わせの毎日を送る中でも、生きている限り必死で夢を叶えて行くことを決意していた。
彼氏も、欲しいと願っても中々チャンスが訪れない日々。うさぎを優先しなければならない戦士業。
しかし、それら全ては四天王が蘇り一転。
更に青年実業家であるネフライトこと、勇人と付き合い始めた。それが項を制し、一人で生きていかなくてはならない未来から、お互いがいる人生を考えるようになった。
そして今、お互いの夢が交差した。
これからは二人一緒の夢を見て生きて行く。




おわり

20241102 キッチンバスの日


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