現世ネフまこSSログ


バイトも何も無い休みを久々に獲得した俺。
まことも何も無いと言っていて、久々のお互いゆっくり会える休日。
天気もいいし、せっかくだからと外でデートをしようとまことに電話を入れることにした。

「まこと~外でデートしねぇ?」

普通の恋人であれば、外デートが当たり前だ。
だが生憎、俺たちは普通とは違う。
有難いことにまことは、一人暮らしをしている為、家デートが主流だ。一人暮らしの背景は決して有難くはないが……。

別に家デートが嫌という訳では無い。寧ろ、ウェルカムだ。
彼女の趣味が料理やガーデニングと言う事もあり、上手い手料理が食える。綺麗な花を愛でられる。こんな幸せなことは無い。
と言うのは本音だが、建前で。
一番は、誰の目も気にすることなくイチャイチャ出来ること。これに尽きる。寧ろ、これに限る。
仲間たちに言わせると、オープンスケベとか変態だとか言われるが、気にしない。男である以上、モチベはそこだろ?

「ああ、ごめん勇人。ダメなんだ」

ゴンッとタライが上から落ちてきた様な衝撃を受けた。
いや、今俺は外だからタライの落ちようが無いんだが……。
休みだと聞いていたのに、瞬殺で断られるとは思いもしなくて。結構、いや、大分ショックがデカい。
彼氏の俺とのデートを瞬殺で断る程の用事とは?

「今日は休みのはずだろ?何でデート出来ねぇんだよ」

ガッカリしたのが声として現れる。明らかに不服だと言わんばかりにブーたれる。

「ヤマトが来る予定なんだ。それが何時か分からないから、待機しないといけなくて」

ん?今、男の名前が出たか?しかも、悪びれて言い淀む事無くサラッと言ってのけたぞ。
ヤマトって誰だよ?弟……はいないはずだしな。
まことを慕ってる年下の奴がいたって前に聞いたことあったが、アイツか?名前は、確か……浅沼、だっけ?
浅沼の下の名前がヤマトって言うのか?
と言うか、俺という彼氏がいながら他の男も部屋に呼ぶとは、一体何考えてるんだ?
男はみんな野獣だ。そう言うことされたらどうするんだよ?
ガード緩すぎるだろ!

「ヤマトって誰だよ?」

断られた事で落ち込んでいたところに謎の男の名前を出されたことで更に塩を塗られ、機嫌が悪くなってきた。
気づけば俺は、怯むことなく男の正体を知るべく質問していた。
兎にも角にも、モヤモヤしたく無かったし、彼女を疑いたくも無かった。

「え?ああ、ヤマト運輸だよ。荷物が来るんだ」
「ヤマトウンユ……」

ん?ヤマト、ウンユ?ヤマト運輸って、あのヤマト運輸?荷物が来る?ヤマト運輸?

「ヤマトって、そっちか!?」

暫く頭で考え巡らし、やっと合点がいった。
配達会社の方のヤマトな?だから堂々と名前を出したのか。焦ったぜ。

「そっちって、どっちだよ?」

いやいや、まことさん?あなた、結構天然ボケですか?うさぎちゃんと長くい過ぎてボケが移りましたか?自覚なしですか?
いきなり男の名前出てきたら焦るだろ、普通。一瞬で色んな嫌な事妄想したわ。
こりゃあ、衛の苦労が目に浮かぶ。色々苦労してるんだな……。

「いきなり男の固有名詞出されたら、浮気か何かだと思うだろ?」
「ああ、言われてみたら男の名前だな。アハハ、勇人面白い」

いや、笑い事じゃねぇから。
ったく、このお嬢さんは……。

「面白くもなんともねぇって」
「ごめん、ごめん」

浮気じゃないと分かってホッとしたから良かったけど、彼女の口から他の男の名前は例えヤマト運輸だとしても楽しいものじゃないな。

「今、そっち向かってっから、いつも通りお家デートな」
「勘違いさせたお礼に、腕によりをかけて美味しいもの作るよ」
「俺が一番食いてぇのはまことだけどな」
「バカ、言ってろ!」

結局いつも通り家でイチャイチャする事になった。
まことと言う名の絶品な身体を味わう事で頭がいっぱいになりながら、愛しの彼女の家へと急いだ。




おわり

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