前世ネフジュピSSログ
『ポニーテールに揺れる想い(ネフジュピ)』
地球に降り立っては草花に夢中になるジュピター。その姿は彼女の主であるプリンセスと重なる部分が多い。
違うところと言えば、研究熱心なところか?ことある事に育て方や構造などを聞いてくる。
プリンセスの護衛と言う名目で、実は草花の研究に来ているのでは?と思う事がある。いや、護衛は前提だろうが、熱心故、護衛を疎かにしていることもしばしば見受けられる。それだけ好きなんだろう。彼女らしいっちゃあ、らしいが。
「マスターと姫君の事を、どう思う?」
「急にどうした?」
「いや、俺はさ賛成派なんだ。せっかく心から愛し合える人を見つけて幸せそうにしてるんだ。応援したいと思ってる」
勿論、これは本音でもある。でも、建前としては、マスター達の関係が無ければジュピターと会うことも無かった。
そして、こうして惹かれる事も。彼女が花を愛でる度に揺れるポニーテール。それを見る度に俺の心も振り子時計の様に揺れていた。
「私も、いいと思うぜ?プリンセスの幸せが私の幸せだから」
心が広い彼女の事だから、そう言うだろうと思っていた。少し違うだろうが、俺と同じで賛成派の彼女の発言に、ホッとする。
「自分自身の幸せは良いのか?」
「それは、どう言う……?」
回りくどく言ったせいで分からず、戸惑うジュピター。俺自身も回りくどいのは苦手だ。ストレートに言うとしよう。
「俺たち、付き合わねぇ?」
「はぁ?また、お前は何言ってんだ?」
今度は伝わったらしく、激しく動揺しているのが見て取れた。トレードマークのポニーテールも激しく揺れ始めている。分かりやすい。
「ジュピターは俺の事、嫌いか?俺はお前が好きだ。マスター達の様な関係になりてぇ」
俺は四天王の一人で、マスターを守る役割がある。だが、真面目にそれ一筋でやってきたわけでは無い。
博愛主義者で、それなりに遊んで来た。と言っても、全て真剣だ。
そしてそれは、ジュピターにだって同じことが言える。いや、ジュピターだからこそだ。
「ぷッあははは。お前、おもしれぇな!」
驚いていたジュピターだが、ややあって大笑いし始めた。これは、脈アリって奴か?もう一押ししてみるか。
「いや、真剣にそう思ったんだ。どうだ?」
「……」
主の手前、従者がこんな不貞な行為に走るとは。そう考え、なじる奴もいるだろう。だけど俺は、主が幸せでいるからこそ、俺たちだって権利があると俺は考えている。
「お前には負けたよ、ネフライト。そんな真剣に言われると断れないじゃないか」
「やっぱ、いい女だな、ジュピターは」
素直な良い女だと、心底そう感じた。だから好きになったし、付き合いたいと思ったんだ。
「でも、知られちゃ不味いよな。今までと変わらずだよな」
正直そこまで考えてなかったが、そうか……。
堂々と付き合えないのには変わりないのか?
そう言えば月に会いに行く事すら出来ないし、何ならどうやって行くのかすら知らない。月の住人は一体全体どうやって地球に降り立っているのだろうか?
「口実作って護衛以外も来ればいいんじゃねぇか?」
月で花を育てるジュピター、それらしい口実くらいすぐに作れそうだと提案した。
「そんな口実、そうそうあるかな?」
ジュピターには届かなかったようだ。やはり、ストレートに言うしか無さそうだ。
「花を見に来りゃ良いさ」
「……ああ、そっか!その手があったか?」
こうして俺たちは、付き合う事にした。
他の奴らに言うと、四天王の癖にと思われそうだが、一度きりの人生。好きな様に、後悔しないように生きたい。
アイツらだって、想い人はいるしな。
リーダーはお堅い上に、相手も頑なだし一生付き合いとは無縁だろうな。
ジェダイトも、相手がクール過ぎて矢を射止められそうもないし、何より進んで無さそうだ。
ゾイサイトは、もう一押しすれば行けそうだがどうなんだろうな?
まぁ、何にしても俺は俺の好きなように幸せになるぜ!
おわり