Lost Memory


適当に公園近くの喫茶店に2人で入って行く。
チョコパフェを食べたいと言っていた衛は当然チョコパフェを頼み、父親はナポリタンを注文する。

「昼食になるけど、チョコパフェだけでいいのか?」
「うん、大丈夫!運動して喉乾いてきたからチョコパフェが良いんだ♪」
「衛は本当にチョコが好きだな」
「パパもチョコ好きじゃん?」
「甘くて美味しいからな」
「お子ちゃまだね♪」
「お、言ったな~!大人になればなるほど甘い物食べたい時があるんだよ!まだお子ちゃまのお前には分からないと思うけどな?」
「あー!バカにしたぁ~!早く大人になりたい」
「まだまだ先の話だな!後15年近く先だ」
「うぅ……遠い。後どれだけ寝れば良いの?早く成長したい!」
「まぁ気長に頑張れ!大人になったら今度はお酒一緒に飲もうな?」
「うん!」

注文した物を食べながら楽しそうに喋る2人。
まだまだお酒を飲めるような年齢では無いものの父親は衛が男の子として生まれた時から大人になったら一緒にお酒を飲みたいという夢を持っていた。
当の本人である衛は弾けんばかりに返事をしたが、何のことかはいまいちよく分かっていない。

「ごちそうさまでした!」
「完食だな。お腹いっぱいになったか?」
「うん、美味しかった♪」
「ママにはパフェ食べたのは内緒な?」
「どうして?」
「羨ましがられるし、甘やかしてって怒られるからな……」
「パパでも怒られるの嫌なんだね笑」
「そりゃ嫌だよ。ママ、怒ると怖いもんな」
「アハハ、そうだね」

余り甘い物を食べさせて虫歯になったり、甘い物しか食べなくなる事を嫌がる母親は、普段衛に食べさせる物に気を配っていた。
それを知っている父親だったが、中々2人で出かけることがない為ついつい甘やかしてしまう。
しかし、この後バレると自分が怒られる事を分かっていただけに口止めは必須だった。
怒ると怖い事を知っていた衛も父親の約束に素直に従う。
チョコパフェを食べて満足した事もあり、どうでも良くなっていた。

「さて、次はどうする?」

会計をすませた父親は衛に次にやりたい事を尋ねる。

「うさちゃんに上げるお菓子買いたい」
「衛は本当にうさぎちゃんが好きだな」

お菓子が買いたいと言うので駄菓子屋へ連れていくことにした。
駄菓子屋では終始うさぎとの事を嬉しそうに喋りながら彼女が好きそうなお菓子を幾つかピックアップしていた。自分にはチロルチョコを幾つか買う事を忘れずにーー。

「パパ、ありがとう!うさちゃんの分も買ってくれて」

会計を済ますと笑顔でお礼を言ってきた。
当たり前の事を出来るいい子に育っていると父親はジーンときた。

「どういたしまして。次はどこ行きたい?」
「……おうち帰る!」
「もう良いのか?」
「大満足!あと……眠くなってきちゃった。えへへー」
「じゃあ帰って昼寝だな笑」

朝早くに起きてキャッチボールをしたり、チョコパフェを食べたりした為だろう。
体を動かしたり、食べたりすると眠くなるのは当然の事で、衛も睡魔に襲われた様だ。
久しぶりに衛と2人で時間を過ごし、父親も満足した為家路に着くことにした。

家に帰ると衛はすぐに寝てしまった。余程疲れたのだろう。その様子を見て父親も眠くなってしまい、夕飯まで2人で爆睡してしまった。




おわり

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