あたしはあたしよ
最終決戦までは力の解放もしないつもりだった。正体を隠し続けて、なぁんにも知らない女の子を続けようと思っていた。
だけど、そうもいかなくなっちゃった。
香炉の中で身体を癒している火球皇女に、秘めたパワーを気付かれていた。
セーラー戦士だと言い当てられて、素直に正体を明かす事にした。後悔はしていない。いつか明かさなきゃいけなかったから。遅かれ早かれ、バレていたと思う。
流石、火球皇女だと思ったわ。
セーラームーンが遠くで戦う気配がしたから、スターライツと一緒にセーラー戦士の姿のまま加勢に行った。
うさぎにも私がセーラー戦士だとバレちゃったけど、後悔なんて全くしていない。
もう、最終決戦はすぐそこまで来ているんだもん。勿体ぶっている場合じゃない。ルナとアルテミス、それにダイアナまで襲って来るんだもん。敵も相当焦ってるんだと思う。
火球皇女とうさぎが顔を合わせることになった。難しい話になったけれど、私が知っている事を概ね火球皇女が話してくれたから、私が話さなくて良くなって負担が減ったから有難い。
帰りの公園でちょっとだけ遊ぶ事にした。
久しぶりに難しい話を聞いたから、癒されたくて夢中でブランコを漕いだ。とっても楽しい。
「お前はだあれ?」
うさぎからそう聞かれる。
「あたしはあたしよ」
そう私はニッコリと答える。
今はこれしか言えないし、この答えが全て。あたしは、あたしでしかないから。他の誰でもないから。
うさぎだけど、うさぎじゃないし。
セレニティだけど、セレニティじゃない。
セーラームーンだけど、セーラームーンじゃなくて。
“ちびちび”
それが私の名前。育子ママが付けてくれた、素敵な名前を持つ小さな女の子。
ちびちびである自分も大切にしたいし、大事な時間。
こうして何も考えずに子供をしている私もちゃんと肯定したいんだ。存在しているって思いたいの。
うさぎははぐらかされたって思ったみたいだから、それでいっか☆
うさぎと楽しい時間を過ごしていたのに、ソイツは突然現れて平和な時間が壊されてしまった。
容赦ない攻撃。強い!幻覚まで見せてくる。精神攻撃。
不意を付いて攻撃して来るなんて、許せない!
わざわざ来なくったって、こっちから行く決意をしていたのに。その前にうさぎの心も身体も傷付けないで!
ギャラクシアの精神攻撃で気を失ってしまったうさぎに代わって、力を解放して追っ払う。壊されかけた街も再生して元通り。後はうさぎが元気を取り戻して、目を開けてくれるのを待つだけ。
夢でうなされていたうさぎ。寄り添って支えると目を覚ましてくれた。感謝されて、天使って言われてくすぐったい気持ちになる。
いよいよ最終決戦の日。うさぎはルナ達を育子ママに託して、出発の場所ーー一の橋公園べとやってきた。
先ずは外部戦士の城へ。ギャラクシアに殺られた後だった。悲しむ暇もなく、仇を打ちに射手座Aスターへ。驚きの真実と、過酷な運命と立ち向かう場所に、いよいよ行くのね。
射手座Aスターでの最初の敵、レテとムネモシュネ。二人の口から語られる未来の真実。セーラームーンの存在が戦いを引き寄せることを聞かされる。
その真実に、セーラームーンは凛として“あたしを殺して”と覚悟の一言。強くかっこいいセーラームーンがそこにいた。
二番目の敵、セーラーヘヴィメタルパピヨンに窮地に立たされたけれど、未来からの刺客セーラーちびムーンとセーラーカルテットがタイミング良く到着。
ここまでナビゲートして助けて貰った。
まだみんなの前で本当の力を解放する訳にはいかなかったから、ちびムーン達によって助けて貰ったという構図になってホッとした。
助けに来たちびムーンから、未来でみんなが倒れたことを聞かされる。仕方が無いとはいえ、ここで死んでしまうと未来のヴィーナス達も無事ではいられない。
お互い、置かれている状況を説明し合って驚き、ショックを受ける。
未来が変わる可能性がある。ちびうさが来たことでとっくに色々変わっているだろう30世紀。
ちびムーンが、うさぎの声を感じたって話してくれた。地球からはるか遠くの射手座Aスターまで導いたのはうさぎだと信じて嬉しそうに話してる。本当にうさぎのことを信頼していて大好きなんだと感じた。