あたしはあたしよ


sideちびちび


うさぎに会いに行かなきゃ!
そう思い立った私は大人の体を小さな体に変えて、いるべき場所を離れ、地球へと向かった。

時空を超え、銀河の彼方の大冒険。
ちゃんと行けるかは正直分からない。
だけどどうしてもあの戦いがある地球へと行きたかった。

時間を費やし、私は無事あの時代へと降り立った。その場所は、まもちゃんとよく待ち合わせやデートに使っていた場所ーー一の橋公園。
まもちゃんはもうクリスタルを抜かれた後だって分かっていたから、この世にはいないし会えないけど、変わらない公園に懐かしいと同時にホッとした。

遊具の船から金木犀が降り注いで来たから、タイヤの遊具をよじ登って船の中に入った。すると、ドレスに身を纏った綺麗な人が倒れていた。キンモク星の火球皇女。
セーラームーンを、私を頼って長旅で疲れてここで寝ていたんだね。
うさぎの所に連れていかなきゃ!守ってあげなきゃ!そんな使命感にかられ、彼女を香炉に入れてあげた。

今はちょうど昼間だから学校に行っている時間だよね?
月野家に行こう!
そう思い立った私はそのまま真っ直ぐ月野家へと向かった。

久しぶりに家の前に来ると、育子ママが出迎えてくれた。
“ちびうさちゃん!?”って、懐かしい名前で叫んでた!
そのちびうさがやった様に、私も育子ママの記憶を改ざんして、うさぎと進悟の妹としてなりすまして、ここでうさぎを見守る事にした。

学校から帰ってきたうさぎは、びっくりして驚いてた。
妹だって言われて更に驚いてた。

月野家にいる間は、兎に角本当に何も分からない幼女を演じ続けようと心に決めた。
その方が楽だし、うさぎの事を癒してあげられる。傍で寄り添って、守ってもらう存在として見守れるから。
これから仲間が次々殺られ、守るべきものが無くても強く立ち向かい、戦わなきゃいけない。仲間や愛する人を糧として戦って来たうさぎの、守る存在として、謎の女の子を演じなきゃ。そう思ったの。

うさぎと会った次の日、まさかのみんな勢揃い。
新手が来たって驚かれちゃった。
まぁそうだよね?ちびうさの時と手口が似ているもん。
うさぎの二人目の子供とか、ちびうさの娘とか好きかって言ってて楽しい。
見た目がそっくりだもんね。でも、実際はどっちでも無くて、遠い未来のうさぎの変装した姿。

幼女を演じ続けようと決意したから、人の言葉にオウム返しを貫こうと決めた。
そこで楽しかったのは美奈P。オウム返しされるって分かっているのに、話しかけて相手してくれるんだもん!やっぱり美奈Pと話してる時が一番面白い。

今回一番気がかりだったのがせつなさんを始めとする外部の三人。時空だけじゃなくて太陽系外から遠路はるばる地球に降りてきたから、何か察知されてしまうかと思ったけれど、どうやら取り越し苦労だったみたい。

私がここに来る頃は流星雨が多くて、そこから外敵が侵入しちゃってたから、私も何とかその影に隠れられたみたい。
でも、はるかさんもみちるさんもせつなさんも、もっと身を引き締め無いと、易々と太陽系外から侵入させちゃって、ダメじゃない!なんて、人の事言えないし、お陰で思い通りの時代の地球へと来られたから、単純に感謝だわ。

最も敵意がない分、外宇宙から侵略しても察知出来ないのかもしれない。それに、元はこの星の出身だし。

創造主って程では無いけれど、宇宙を守護する戦士。言わばセーラー戦士の頂点。だから感知出来なかったのかも。

でも、こうして楽しくバカをやれるのもこの日が最後なんだよね……
もうすぐ次々とみんなのクリスタルは奪われてしまって、過酷な戦いに身を投じる事になるんだもんね……

少しでもうさぎの癒しや心の拠り所となるならと思って、夜は一緒に寝たいと思った。昔の自分と寝るって、何だが変な気持ちだけど、落ち着く。
部屋もベッドも使っていたものだから安心感があるし、やっぱり我が家はホッとする。
育子ママも優しくて、謙之パパも抱擁力があるし、進悟は相変わらずの生意気。
ああ、何でもない平凡な家族だけど、幸せ。
ルナとアルテミスも、小さな私を可愛がってくれた。
ほたるちゃんと砂場で遊んだりしたのも、楽しかった。

ちびうさを見習って、小さな体に変えて良かった。
大人の見た目だとやっぱり怪しいし、こうしてみんなに歓迎されなかっただろうし。子供の見た目はやっぱり得だと思った。
馬鹿なふりするのもお手の物。元々難しい話が苦手だから、返って都合が良かった。

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