Hello Again~昔からある場所~


そしてその先に待ち受けていたのは
セーラーコスモスとなりカオスとの戦いの日々
でもそれもこれで解放される
全て終わってこれでやっと楽になれる
ホッとした瞬間
そこで意識は失った

次に目を覚ましたのはやっぱり
ギャラクシーコルドロンの中でだった
セーラーコスモスとしての戦闘服を纏うことなく
月野うさぎだったあの時のように
普通の衣服に身を包んでいた

やっぱり全ての星が生まれるところを
消すことなんて出来ないのね
ここがあるから私たちは
生き続けてゆける
何度でもやり直せる


「ーーなんて強い星の輝きなの」

コスモス・シードの守護・精霊である
ガーディアンコスモスに話しかけられハッとなる

「セーラーコスモスね?
カオスとの長い戦いお疲れ様」

その言葉でガーディアンコスモスも
このギャラクシーコルドロンの中で
戦いの行く末をずっと見守ってくれていたのだと知る
それだけで救われた気持ちになった
守るべき愛する人も仲間もいない中で
戦う意味を見いだせずにいたから

「カオスは?」

表情を変えず首を振っている
やっぱり完全消滅とはいかなかった
また姿形を変えて転生するかもしれない
覚悟は出来てる
私が存在する限り敵は必ず現れる
光は闇を呼び、また闇は光を呼ぶ
表裏一体だから
だけど今度こそ敵としてでは無く
仲間として仲良く出来たら
なんて思うの

「私の元へやって来たという事は
その命をコルドロンの始まりの海へ捨て
新しい星の歴史を始めたいと言う事?
それともそのままの星の姿でここから
立ち去っていきたいのかしら?」

あの日、愛する人と仲間と再開したコルドロンで
今度は一人、この質問に答える事になった

「また愛する人や仲間と過ごしたいな」

私の帰る場所はいつだって決まっているから
またあの場所から始めたい
役目を終えた私はまた同じ歴史を繰り返す事にした




……まぶしい……
……お日様の光だ

気持ちいーーい……
……ああ、まもちゃんのお布団の中だわ
いっつもふかふかで
お日様と緑の匂い……

「うさちゃん!うさちゃん!」

そう呼ばれ起きた私は小さい
小学生の姿に逆戻り
勿論、最愛の人であるまもちゃんも
私と同じで小学生の姿で……

「おはよう、うさちゃん」

おはようのチューで起こしてくれる
まるで王子様
シャワー浴びて着替えを促してきて
朝食を作ってくれて
オマケに算数の宿題までやってくれちゃったりなんかして
教科書もちゃんとカバンに揃えて入れてくれてて
私を最上級に甘やかしてくれる

…これって夢かなぁ?なんて思いながらも
本当はちゃんと分かってるの
これは夢なんかじゃなくて
私がガーディアンコスモスに願った事

ネヘレニアの呪いの中で見ていた夢
理想のシチュエーションだったから
夢で終わらせたくなかったの
初めて出会った時はお互いもう成長していたから
だけど小さいまもちゃんにも会ってみたかった
それに6歳で事故にあってから
両親も記憶も無くなり一人ぼっちで生きて来たまもちゃんに
寄り添ってあげたかった
癒して元気づけたかったの

何より私自身がまもちゃんのいない日々がとても寂しくて
たった一人戦うことがすごく辛くて
何もかも投げ出して会いに行きたかった
まもちゃんの傍にいることが
まもちゃんが隣にいることが
私の当たり前の事として定着していて
いない日々なんて考えられなくなっていた

まもちゃんがいなかった日々を埋めたかった
私が癒されたかったし元気づけられたかったの
新しい関係を始めたくて
私の全部がまもちゃんの想い出で埋めつくしたくて
小さいまもちゃんに会いに来たの

“よく頑張ったね”って褒めて欲しくて
思っきり甘やかして欲しくて
ここに来たの

大人のまもちゃんもいいんだけど
結構厳しくて甘やかしてくれないし
もっと甘やかして欲しかったな、なんて
そんな文句を言ったらきっとまもちゃんは
“充分甘えてるだろ!”って呆れるんだろうな


一緒に暮らして
学校へ一緒に登校して
授業も机並べて一緒に受けて
給食も一緒に食べて
勿論下校も一緒で

「うさちゃんの夢を僕が全部叶えてあげたいんだ
うさちゃんは何にもしなくていーんだよ
僕に甘えてくれるだけでいいの♡」

まもちゃんの夢は?って聞いたら
当然の様に“うさちゃんとケッコンするコト”なんて言ってくれるの
私の夢もまもちゃんとケッコンするコトだよ

とっても幸せだな
戦いなんて無くて
勿論禁断の恋でも無くて
みんなにも応援してもらえて

なんでもない事が
みんなが当たり前に過ごす日常が
私にも普通じゃなくて
それはとても幸せなこと
かけがえの無いこと

いつしかまもちゃんを救うはずが
私の方が救われていた


分かっているわ
この幸せはきっと長くは続かないってこと
また戦いの日々が待っているってこと

だけど今だけは
この瞬間(とき)だけは
どうかこの幸せを噛み締めさせて




おわり

2/2ページ
スキ