BIRTHDAY RHAPSODY


『Birthday Rhapsody(ゾイ亜美)』

『BIRTHDAY RHAPSODY』

もうすぐ亜美の誕生日。

付き合って初めての誕生日だから色々してあげたいと考えているけど思い浮かばない。

勉強ばかりの彼女がしたい事ってあるのかしら?

プレゼントは何がいいかも分からない。

以前、付き合った記念に何かプレゼントしたいから何が欲しいか聞いたことがある。

当たり前のようにキッパリと「参考書。医学部のある大学の過去問題集」と色気の無い答えが返って来て、引いた。

そうね、この子はそういう子だった。
分かってたのに聞いた私が馬鹿だったわ。

それ以来この手の質問はしない事にした。

結局その時のプレゼントはパワーストーンのブレスレットをあげた。

前世の名前であるゾイサイトの石に集中力の上がるパワーストーン、彼女のパーソナルカラーである青であしらったブレスレット。

集中力の上がるパワーストーンを入れたのは不正解だった。

元々勉強し出すと周りが見えないほど集中力が上がるから、余計に勉強に精を出して私の存在忘れられる事がしばしば…

とりあえず私は誕生日当日の予定だけ聞いてみる事にした。

「9月10日はどうしてる?」

遠回しに誕生日の予定を本人に電話して聞いてみた。

「お勉強よ」

即答で返って来て呆れた。

自分の誕生日よ?忘れてるの?

どんだけ勉強が大事なのよ?

これ以上勉強してどうするの?

思春期の女の子とは思えない。

不覚にも恋愛脳彼女を持つ衛と君斗が羨ましくなってしまった。

この分じゃ私か勉強どっちが大事か聞いても勉強と即答されそうで怖いわ。いや、絶対そんな質問死んでもしないけど。

「その日は何の日か忘れたの?」

「9月10日?…アッ!」

漸く思い出したようね?

暫く考えないと思い出せない誕生日って何なの?誕生日が不憫だわ。

「私が祝わせて貰える時間はあるの?」

無いとは言わせないわよ!

「…善処します」

善処って何?そんなに勉強のスケジュールでギチギチなの?怖いんだけど。

「善処じゃなく必ず時間取らせなさい」

ここまで言えば流石に勉強の時間減らすでしょ?

ってか自分の誕生日に勉強普通するかしら?

…普通じゃ無かったわね。

今回の彼女の誕生日は平日で、昼間は当然学校、夜は塾があるらしい。

最も、塾はいろんな所を掛け持ちして毎日行ってるみたい。バイトか!?

私も塾の講師と模試の試験管のバイトを掛け持ちしてるから人の事は言えないけど、流石に毎日じゃないし、 亜美の誕生日は何も予定は入れてない。

なのに張本人はスケジュール入れて勉強ですって!

この子が勉強しない日なんてあるの?

とりあえず私が貰える時間は学校終わって塾が始まる16時~19時の約3時間って所かしら?

そんな事を考えていると亜美から連絡が入る。

「もしもし、考えてくれた?」

ダメ押ししてから数分だから誕生日当日の話しかないでしょ?

「あ、はい…そうです。えっと…学校終わってから塾が始まるまでなら」

やっぱり思ってた通りの答えが返って来たわね。

学校は仕方ないとして、塾は1日くらい休んでもいいんじゃないかと思うけど、まぁ彼女にしてみるとこれでも結構頑張って時間作ってくれたんだろうから何も言わない事にした。

「分かったわ。学校が終わる頃に迎えに行くからデートしましょう」

「デッデート?…分かりました。それじゃまた」

と言って動揺しながら勢いで電話を切ってしまった。

ふふっデートって言葉に動揺して、可愛いわねぇ~。

ただ、やりたい事以前に3時間位しかない中では出来ることの方が限られてくるからあまり色々行けないわね…

1/2ページ
スキ