悩める小さな美少女戦士たち(ほたちび)
今日、身体測定があった。月並みだけど、牛乳飲んだりして頑張ってた。
けど、結果は前回に測った時より数ミリ程度伸びただけ。
赤ちゃんから転生して、凄いスピードで成長をしていた私は、ここに来て伸び悩みしてしまったみたい。
デッドムーンとの戦いの時はちびうさちゃんより背が高かったのに、今はそれ程変わらない身長になってしまった。
これじゃあ、ちびうさちゃんを守ってあげられない!
「ちっちゃい私じゃ、何かあってもちびうさちゃんを守ってあげられないよ」
「ほたるちゃん……。その気持ちで充分だよ」
「でも……。私、転生前の身長まで一気に伸びると思ってたんだよね」
デッドムーンとの戦いの時は確かに前の身長まで成長していた気がした。
なのに、戦いが終わると不思議な事に前世や前の土萠ほたるとしての記憶を取り戻した直後の身長に戻ってしまった。
「きっと急激に成長しちゃったから歪み、みたいなものが出てきたんじゃないかな?バランスとってるとか?」
「そうなのかな?戦士として戦ってた時は前と同じくらいの身長になってた様な気がしたんだけど……」
「そう言えば、私より高かったかも」
「でしょ?なんで縮んじゃったんだろう……」
「また戦いになって危機が迫れば成長出来る、とか?」
「だったら良いんだけど……」
だけど正直、やっぱり戦いで身長伸ばしたくないなってのが本音。伸びたり縮んだりってのも嫌。一喜一憂だもん。
そりゃあ私も戦士だから、ちびうさちゃんやみんなをこの星を護りたいと言う気持ちは持ってる。
「私もね?どうして成長止まっちゃったんだろうって大分長い間悩んでたんだ。なんでだろうって。何か理由があるのかなって」
そうだ、ちびうさちゃんは実際は902歳。
小さいまま止まってしまってから相当の年月が経ってしまっている。悩みの年期が違う。
「こっちの世界に来て、うさぎやまもちゃんに“ちびうさ”って呼んでもらって、最初は嫌だったけど、そのうち慣れたら何か良いなって思ったんだよね。それにね?」
「うん?」
頬を少しピンクに染め、照れ臭そうに過去の両親のまもちゃんとうさぎお姉ちゃんの話をするちびうさちゃん。とても幸せそう。
「こうしてほたるちゃんと一緒に学校通えてる事が嬉しい♪だから私が成長出来なかった理由ってほたるちゃんとこうして同じ学校に仲良く通ったり、同じ悩みを共有したりする為だったんじゃないかな?って思ったんだよね!」
「ちびうさちゃん……」
「だから身長伸びないのは悩ましいけどさ、同じ学年で同じクラスで仲良く出来るんだもん!小さい時期も楽しもうよ、ね?」
「うん、うん、そーだね!私もこの身長に縮んだのはちびうさちゃんと、より長くいられる為だって気がしてきたよ」
「そうだよ!やっぱり私たち、運命なんだよ」
「そうだね!運命だね♪」
私よりも長く悩んでた分、もっと傷は深いはずなのに、前向きに考えてるちびうさちゃんに励まされる形になっちゃった。
戦士として支える側が、支えられちゃって不甲斐ない。だけどおかげでとても元気になった。
「それにね、昔、額に印が無くて、成長も止まっちゃった時にプルートに相談したらこう言われたの。“貴方はれっきとしたクイーンの娘です。額に印がないのは、貴女が地球人として産まれたからだと私は推測してます。貴女は貴女です。例え額に印が無くても、貴女は立派なシルバーミレニアムの一族ですよ。成長もきっと出来ます!自信を持って”って」
流石はせつなママ。言いそう。
「せつなママ、いい事言うね」
「本当だね♪あの時、あの言葉にすっごい救われたんだよね」
「私も、さっきのちびうさちゃんの言葉、とっても励まされたよ!」
「えへへ、嬉しいな♪」
そう言ってちびうさちゃんはまた照れ臭そうに頬を少し赤らめて笑った。
ちびうさちゃんの本当の居場所は30世紀の未来でここではなくて。いつか帰ってしまうけれど、それまで、未来のプリンセスを護ってあげたい。
そしてこの先、まもちゃんとうさぎお姉ちゃんがキングとクイーンになってスモールレディが産まれたら、その時は全力で護ってあげたいなって、改めてそう思った帰り道だった。
あの時感じた“運命”は、やっぱり間違いじゃなかったんだ。そう感じた一日だった。
おわり