タピりたい
「ちびうさちゃんはどうしてそんなにギャル語が分かるの?」
暗くなりそうだから、仕切り直し。
ちびうさちゃんがギャル語に詳しい理由が知りたい。
「何でだろう?うさぎかな?美奈Pと電話で時々ギャル語使ってるの気になって質問したりしてる」
「うさぎお姉ちゃんと美奈Pか……」
やっぱり私の予想、的中した。
流石は女子高生を姉(と言うか未来のママだけど)に持つだけある。
って、よくよく考えると私も女子高生のママ(私の場合はママでも何でも無いけど)を持ってるのに、何でギャル語がちんぷんかんぷんなんだろう。
みちるママ、お嬢様だからかな?
うさぎお姉ちゃんと学校同じだから会うこともあるだろうけど、ギャル語が移ったりしないのかな?
はるかパパも同じだよね。パパだから、男言葉喋ってるし、みちるママはお嬢様言葉だし。
せつなママは、論外かな?アラサーだし。
「タピりたい!」
「パンナコッタ食べたい!」
「なんてこった!」
「パンナコッタ!あははははは」
「あははははは~」
私たちの会話など聞こえてなかったかのように、ギャルコンビはマイペースに勉強を離脱してギャル語で話を続けてる。
名誉の為に言っとくけど、私やちびうさちゃん達はちゃんと宿題の手を動かしながら会話してるのよ?
蕎麦屋に宿題しに来てて、何で外国の食べ物食べたがるんだろ。本当、理解不能。
「蕎麦なら幾らでもあるから食ってもいいぞ」
朝から来ていた私たちは、昼になって蕎麦をご馳走様してもらう事になった。
ゴールデンウィークと言う事もあって、人も多く、賑わっている中来ちゃって、蕎麦まで持て成して貰って余計忙しくしちゃったかも。
「わーい、待ってましたぁ~♪」
「いっただっきまぁ~っす」
「九助さん家のお蕎麦、美味しいんですよね」
「そうなんだ?私、食べるの初めてだから楽しみ」
「食べすぎたら昼に響くから、程々にね」
桃ちゃんが言う通り、私たちの今日の目的は大量に出された宿題を片す事。
朝から集まったのは、一日かかりになる事は間違いないと踏んだから。
特に、なるるとるるな。この二人の為に集まった様なもので、その二人が根を上げちゃあ意味が無い!
「本当、九助の蕎麦、美味しかった♪」
満足した私は、再び宿題と向き合う事にした。
お昼を食べた事で満足したのか、昼からは集中して凄い勢いで宿題を片していた。感心感心。
その代わり私たちの方が、残り少なくなった事で気が緩んでいた。
「九助、差し入れ持ってきましたわよ」
「みんな、頑張ってらっしゃる?」
「姉ちゃん、サンキュー。それと、ええっとぉ……姉ちゃんの友達も」
九助のお姉ちゃんと、もう一つ声が聞こえて来て、聞き覚えのある声に、私は顔を上げて、その方向を見た。
「レイお姉ちゃん!」
「レイちゃん?」
ちびうさちゃんとシンクロして驚く。
まさかの人物の登場に、驚きを隠せないでいると。
「タピオカミルクティーの差し入れよ。頑張って」
「ありがとう、レイちゃん」
「レイお姉ちゃん、どうしてここに?」
「ことのから、みんな頑張ってるって聞いて。何か出来ないかと思って」
先日、九助のお姉ちゃんと私たちの知り合いが繋がっていることが判明。
それを戦士全員に話して聞かせたところ、私たちに気をかけてくれて、差し入れがてら様子を見に来てくれたみたい。
「タピれる~♪」
「エモい!」
「あげみざわ~」
「ちょベリハ~」
お礼もそこそこに、なるるとるるなの二人は、タピオカミルクティーを飲み始め、生き生きしだした。
「宿題、頑張って良かった」
そう言って2人は、水を得た魚みたいに生き生きして、残りの宿題を猛スピードで終わらせた。やればできる子達だと感心した。
そして私はこの日、ギャルにはタピオカを与えると頑張れる。と、勉強以外に間違った知識を吸収した。
宿題は、昼前、そばを食べる直前に終わらせたよ?
「また、みんなで宿題しようね♪」
「今度は桃ちゃん家か、なるるん家キボンヌ♪」
宿題に前向きなのは嬉しいけど、それ、絶対に食べ物や宝石目当てでしょ?
でも、二人らしいと感心してしまった。
今度は夏休みの宿題に、桃ちゃん家の中華料理を楽しみに頑張るのも悪くないな。
おわり