フィオレの訪問は突然に


「いっその事二人、付き合ったら?」
「って、美奈子ちゃん?何で?」

突然、とんでもない提案してきたと思ったら、まさかの美奈子ちゃんの登場だ。
流石、美奈子ちゃんは思考回路が自由だ。

「うん、突然グラコロが食べたくなって。ここに来たらうさぎちゃん達、見た事ある面子が勢揃いしてるんだもん。あ、ここいい?」

そう言って自然な流れで空いていたうさこの隣に腰かける。

「本当、あんたって相変わらずねぇ」
「ああ、タイガーズアイにフォークスアイ!よくも私を賭けに使ってくれたわね!」
「あなたに言われたく無いですね。二股かけて振り回したのはあなたですよ?」
「まぁ、そう言う人だからそう言う自由な発想が出来るのね」
「僕は衛くんが良いのであって、この人は初めて会ったから分からないよ」

当然の答えだよな。まぁ美奈子ちゃんの発言は受け流すくらいが調度で、深く考えたら負けだろうな。
俺もフィオレとフィッシュアイが付き合う流れは想像付かない。お似合いな気もするけど。

「あのね、単純に衛さん好き同士だからくっ付けたいんじゃないのよ?衛さんはうさぎちゃん以外の人とは付き合う気は無いでしょ?だから二人の想いは永遠に叶うことは無いでしょ?ならいっその事二人付き合えば楽しいんじゃないかな?って結論に至ったわけ」

この発言には単純に驚きを隠せ無かった。
何も考えず面白がっての思い付き発言だと思ったからだ。ここまで真剣に考えていたなんて、正直意外だった。
でも、これは突拍子も無いけど。

「美奈子ちゃん、やっぱり凄いね」
「まぁねぇ」

凄い……のか?
まぁ、色んな発想出来るのは感嘆の意を評したい。美奈子ちゃんらしいと言える。
俺も難しく考えず気楽に視野を広げたいもんだ。

そしてその日は食べ終わると解散となった。
フィオレは当分滞在すると言う事で、俺の家へと帰ることになった。
当然、この流れを見ていたうさこは不満そうな顔をしていたが……。

☆☆☆☆☆

次の日、今度はまた意外な訪問者がやって来た。

「はるかくん、みちるくん、せつなくん、一体どうしたんだい?」

この三人が集合して俺と話したい事と言えば、重要で真剣な事が多い。
そう感ずいた俺は、咄嗟に身構える。

「ええ、少しお伝えしておきたい事がありまして」
「突然のご訪問すみません」
「うさぎは?」

うさこには聞かれたくない話だと悟る。

「いや、今日は来ていないよ」

フィオレがいるから、また暫く会えないだろうと覚悟していた。
そしてその上、外部戦士が3人揃っての訪問。
うさこの身に危険が迫っている。そう解釈して間違いないだろう。
気分が落ち込むが、しっかり三人の話を聞かなければ。

「ならよかった」
「単刀直入に申し上げます」
「太陽系外から何者かが侵入したようです」

三人の話はこうだった。
何日か前から何かを感じていたが、昨日、それが強く感じたという。
三人とも意見が合致したことから、先ずは俺に報告に来たという事らしい。
その話を聞いた俺は、一つの結論に達してしまった。

「フィオレか……?」
「心当たりがあるのですか?」

せつなさんに鋭く質問される。

「あ、ああ、今、地球外生命体のフィオレってのが俺の家に昨日から居候しているんだ」
「何ですって?大丈夫なのですか?」
「ああ、俺の友達だから地球に危害は与えない」

まだ外部戦士の存在を知らない時、そんな事になったが、言わないほうが良いと感じた。
そして、やはりフィオレは太陽系外から来ていた事が伺えた。
遠い所からいつも来てくれて、ありがたいと心が温かくなった。

「よく来るのか?」
「たまに来て少し俺の家に滞在する」
「うさぎに危害は?」
「加えないが、その期間は会えない事が多い」
「では今回も長らく滞在を?」
「そのつもりだと思う」
「今後も来る事がありますか?」
「これからもちょくちょくあるだろうな」

外部三人から矢継ぎ早に質問が来る。
分かる範囲で答えているが、納得してくれているのだろうか?

「事前に来る日は分かりますか?」
「いや、すまない。連絡の手段がないから分からない。彼の気分次第だ」
「そうですか。では、来たらすぐに報告下さると助かります」
「分かった。そうするよ」
「では、私たちはこれで」
「ごきげんよう」
「突然すみませんでした」

納得したのか、あっさり去っていった。
やはり彼女たちは太陽系外からの侵入者を敏感に察知してるんだな。
これは、フィオレにもそれと無く言っておかなければと感じた。

フィオレの訪問がまさか外部三人を動かす事態になるとは思いもよらず、2日に渡って疲れ、疲労困憊になってしまった。

END

2021.12.05

フィオレ生誕祭2021
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