フィオレの訪問は突然に


そして道中、俺はうさことフィオレの板挟みにあいながらマク○ナルドへと行く事になった。

「まもちゃんは、私の!まもちゃんなんだからね?」

何て言いながら、左腕に抱きついてくるうさこ。

「衛くんは、僕の!衛くんだ!君のでは無い!」

などと言いつつ、何故かフィオレは右手を絡ませ恋人繋ぎをして来た。
いや、これの意味、分かってるのか?
周りに誤解されるだろ。
男と女を二股かけてる色男、等と街ゆく人に変なキャッチコピー付けて呼ばれるだろうな。
フィオレの方を振り解けば良いのだろうけど、それも何故か俺には出来ない。
これで2人が仲良くしてくれればいいんだけど。

「まもちゃんとマク○ナルド久しぶりだな♪」
「衛くんとマク○ナルド」

マクドナルドに着くと、喧嘩していたとは思えない程仲良く同じ事を言ってはしゃいでいて、ホッコリした。

「何食べよっかな?やっぱグラコロかなぁ……まもちゃんは?」
「衛くんは僕と同じでフィレオフィッシュって決まってるんだ。なぁ、衛くん」

止めてくれ。またうさこを怒らせるだろう。
それに別に俺はフィレオフィッシュが好きな訳では無い。

「俺も、うさこと同じのにしようかな」
「じゃあ、グラコロ一緒に食べようね」
「じゃあ、僕もそれにしてみてもいい」

何故に対抗するんだろう。そう思ったその時だった。

☆☆☆☆☆

「あっ!まもちゃんだぁ~♪」

そう叫ぶ人がいて、その方向に視線を向けると、意外な人物が目に映る。

「君は確か、フィッシュアイ?」
「覚えててくれたんだね。僕、嬉しいよ。まもちゃん、大好き」

そう言って長い水色の髪をポニーテールにして、靡かせこちらに向かってきたかと思えば、右腕に手を絡ませてきた。
見た目女の子で可愛いんだけど、おとこの娘なんだよな。
と言うか、何だろうこの状況。またうさこの逆鱗に触れるんじゃ……。

「あー!フィッシュアイ!何してんのよ!私のまもちゃんに」
「まぁだあんた、まもちゃんにくっ付いてるの?」

デジャブ感満載だな。
つい先程もこのやり取りを見たような。

「まもちゃんは、私のまもちゃんなのよ!」
「僕のまもちゃんだもん」
「フィッシュアイ、うさこは俺にとって無くてはならない大切な人だ。永遠の恋人で、未来の妻だ。前にキッパリ断ったはずだ」

そう言ってフィッシュアイを振り解き、うさこを両手で抱き寄せる。

「なぁに、あんた完敗じゃない」
「アマゾントリオなのにダサいですねぇ」
「って、タイガーズアイにフォークスアイまで……」

トリオが一堂に会してマクドナルドでバーガー食ってるとか、シュールだな。
そもそもバーガー食えるのか?と言う疑問が沸き上がる。

「3人とも、元気そうで良かったよ」
「あんたのお陰よ。単純に感謝してるわ」
「そうそう、この子もセーラームーンに出会えて良かったって言ってるんですよ。ね、フィッシュアイ?」
「な、ば、そんな事言ってないわよ!失礼しちゃうわね!」
「素直じゃないですね、全く」

そうか、やはりうさこは凄い。3人に手を差し伸べた事によって救われた様だ。
彼女の力や存在はとてもデカい。

「隣、どうぞ」

店内は割と空いていて、フィッシュアイ達の隣も空いていた。
お言葉に甘えて、隣に座らせてもらうことに。

「どうした、うさこ?」

さっきからずっとブーたれて不貞腐れている。
まぁ、この状況が気に入らないのは分かる。

「まもちゃんがモテるのは単純に私も嬉しいよ?だけど何で同性ばかりなの?」

本当、ご最もな疑問だ。しかも人間でも無い。
フィオレは地球外生命体で、フィッシュアイは魚の妖精だ。
性別も種族も超えている。うさこはその事に気づいていないようだった。
俺とうさこの前世も種族を超えて恋に落ち、地球も月も滅ぼす事になってしまった。
もしかすると俺には前世も現世も種族を超えて魅了される程の何かがあるのかもしれない。なんてな?

「優しいから?隙があるからかな?」

その事には触れず、とぼけて答えてみた。

「衛くんはたった一人の小さい僕に寄り添ってくれた。それが凄く嬉しかったんだ。僕も衛くんを癒してあげたいと思った」
「フィオレ……」
「僕は、ビビビと来たんだ。まもちゃんなら僕の事、分かってくれるんじゃないかって……」
「フィッシュアイ……」

2人とも、俺と同じで寂しい想いをしていたんだな。
好いてくれて嬉しいけど、やはりその気持ちにはどうしたって答えられない。
俺にはうさこがいるから。うさこ以外は、何も要らない。

「そっか、2人とも辛かったんだね?私たち、お友達なんだから、なんでも言ってね?あ?まもちゃんは私の物だからダメよ?目の付け所がよ過ぎる事だけは、褒めてあげるけど」
「うさこ……」

6歳の時、両親が事故でなくなって、記憶も失って、ずっと一人寂しかったけど、うさこもフィオレも元基も、勿論フィッシュアイもいる。
俺はもう一人じゃないんだなと暖かい気持ちになった。

「フィッシュアイとやら、何を食べているんだ?」
「グラコロよ。二人はフィレオフィッシュを嫌味ったらしく食べてるけど。僕が食べたら共食いの地獄絵図よ」

確かに共食いになるな。フィオレは名前が似てるだけだから全く関係無いけど。
フィッシュアイにしてみたら死活問題だよなぁ。

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