初デートは邪魔が入りました


そして当日、特に名案も思い浮かばないまま時間が迫ってきた。
2人を巻いてエリュシオンに行こうかと朝早くに起きたけど、そこはやっぱり親子、見透かされていた。私の部屋の前にセレスとジュノーが立っていた。
聞けばパパに頼まれてずっと見張っていたのだそう。セーラーカルテットを味方につけておくべきだったと今更後悔したけど、仕方ない。

「2人は私の味方じゃないの?」
「そうなんですけど、スモールレディからは何も言われなかったので」
「キングに命令されたら聞かない訳にはいかないしな?」
「まさかとは思うけど、着いてきたりしないわよね?」
「そのまさかですわん♪」
「俺たちがしっかり護衛するぜ!」

パパとママだけじゃなくて、セレスとジュノーまで着いてくると聞いてどっと疲れる。

「さて、行こうか」

セレス達に足止め食らってると凹んでる私とは対象に楽しそうにパパとママがやってくる。
2人を見るといつものドレスとタキシードでは無く、違うドレスとタキシードに身を包んでいた。久しぶりのデートに気合いを感じる。
私はいつものピンクのドレスなのに……。

「本当に着いてくるの?」

着いてきて欲しくない私は、念押しの為に聞いてみた。

「ああ、2人の邪魔はしないから安心してくれ」
「そう……」

着いてくるの時点で邪魔だからその言葉は違う気がする。絶対この2人が空気読めるとは思えない。

「パラスとジュノーも着いてくるって言ってるんだけど?」
「昔は私たちも会う時は護衛付きだったのよ」

いや、知らないし、だからって私たちにまで護衛付きにするなんて……昔と今は違うのに。古の考え押し付けないで欲しい。
こんな大所帯で行ったらエリオスがどう思うか……。

そんなやり取りをしつつ色々考えながら待ち合わせ場所に行くとお互いを見て笑顔になった顔がそのまま固まった。
私の方も大概だけど、エリオスにも余計なイソギンチャクが着いてきていた。
メナード2人にクンツァイトとゾイサイト……ですってぇ?
こっちはこっちで酷い。
きっと断りきれなかったんだろうなぁ……とエリオスの苦労が目に浮かぶ。

「マスター、お元気そうでなによりです」
「お前たちは何でここに?」
「エリオスがプリンセスとデートって聞いたので、マスターも来るかと思い挨拶を」
「そうか」

流石はクンツァイト、パパの行動をお見通しだったみたい。だからといって着いてくるのはどうかと思うけど……。

「おちびちゃん久しぶりね!元気?……って顔じゃないわね?ふふっ」
「……そうね、不満だらけよ」
「そりゃあこんなに着いてこられちゃあね?デートどころじゃないわね」
「マーキュリーに会いたかった?」
「ご想像に任せるわ!私とクンツァイトはマスターに会いたかっただけだからもうここで帰るわ」
「帰るんだ?」
「人の恋路は邪魔しない主義なの」

一番邪魔する主義の象徴みたいなゾイサイトが言っても説得力ないけど、帰ってくれるのは有難い。
少しでも人数が減るのは嬉しいから。

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