リボンの戦士
でも、そんな事より美奈ちゃんってば、すっごく美人!なのに第一印象は明るくて美人を鼻にかけてない感じで、うさぎと雰囲気がどことなく似てて話しやすそう。うさぎと同じ金髪だからかな?
そこに大きなピンクのリボンも、私と同じだからかな?
「うさぎがいつもお世話になってます」
「こちらこそ、ご迷惑かけてないか心配で……」
昔からの腐れ縁だからか、美奈ちゃんはうさぎの保護者の様な会話をしてきた。しっかり者と言う感じがする。
「迷惑なんて、かけられてますけどぉ~。そこがうさぎのいい所でもあるし、憎めないから」
「ちょっと、なるちゃん!美奈ちゃんも!ヒドイ……」
「何よぉ、本当の事でしょ?」
「……そぉだけどぉ」
気の知れた会話。本当にうさぎとは昔っからの腐れ縁である事がこの会話で汲み取れる。
酷いことを言っても笑って許される関係。しっかりと出来上がっている。本当に気心知れた親友と言う感じだ。
「遅刻は当たり前!テストも散々!ママに怒られて泣きついてきたり、弟くんとの喧嘩は私は悪くないとか愚痴ったり。一目惚れしては追いかけてったり」
「な、なるちゃぁん……」
「なぁによぉ!まだあるのよ?」
「アハハハハハハーーーッうさぎ、アンタ本当に迷惑かけまくりね?」
「うっ美奈ちゃんまで……」
私も対抗って訳じゃないけど、負けじとうさぎと親しい事をアピール。
と言うかこの美奈ちゃん、うさぎと同じ金髪と言う見た目と頭に大きなリボンと言う見た目、ノリのいい性格からか、美人なのに親しみやすくて楽しくてついついうさぎの事を喋っちゃうのよね。
やっぱり、うさぎに迷惑かけられている者同士、気が合うのかしら?
「アンタはそれでいいのよ」
「そうよ、うさぎ!それがあなたの良いところなんだから、ずっとこのままでいてね」
「これからもうさぎの世話、させてよね」
「……二人ともぉ」
やっぱり気が合う。何か昔からの友達のような、ずっとしていたかのようなそんな変な感覚に陥るくらい、しっくりと来る。
うさぎに迷惑かけられているから気が合うと言うのもあるのだろうけれど、それとはまた違う何かシンパシーの様なものを感じる。
もっと知りたい。仲良くなりたいと単純に思っていた。
「今日も来てるね!うさぎちゃんに美奈子ちゃん。それになるちゃんも久しぶりだね。美人三姉妹、勢揃いってところだね」
うさぎの元想い人、古ちゃんお兄さん登場。
確かにかっこいいのよね。頭もいいし、よく聞けばここのオーナーの息子さんだとか。つまりはお金持ち!
まぁ、私も宝石店の娘だからお金持ちなんだけどさ。お兄さんもそうだけど、私も跡取りだから無いなって思った。優良物件だけど。
「美人だなんてぇ……そんな事、ありますけどぉ」
「美奈ちゃん……はぁ」
美奈ちゃん、美人って言われて謙遜一切して無くて驚いた。でも、全然嫌味に聞こえない。この子、本当にすごいな。
本当に美人だしね。憧れちゃう。
「古ちゃんお兄さん、今からバイトですか?」
「ああ、だからゆっくりしていってね」
「勿論ですぅ~」
声色を変えて猫なで声で答える美奈ちゃんに、あ、美奈ちゃんってこの人の事好きなんだ。直感で分かっちゃった。本当、うさぎと瓜二つ。
「あ、私は塾があるからこれで」
この子ならうさぎをこれから先も任せられる。そう思っま私は、安心した。
時計を見ると、塾の時間が迫っていたからここでお暇する事にした。
「えぇぇ~~~!せっかく仲良くなれそうだったのにぃ~」
「ありがとう、美奈子ちゃん。またゆっくりお話しましょう。今度は美奈子ちゃんのうさぎの迷惑話聞かせてね」
美奈ちゃんに、仲良くなれそうと言われて嬉しかった。
私もそう思っていたから、本当はもっとお喋りして仲を深めたかったのに塾があるから後ろ髪を引かれる想いでお別れを言ってゲーセンを後にした。
美奈ちゃんは恐らくうさぎの最近の秘密のキーマン。
どんな謎があるかは分からないし、うさぎが言いたくないなら深く追求する事は今後もしない。
けれど、どんな事を打ち明けられても私はこれから先もうさぎの親友でいたい。
美奈ちゃんとも、うさぎの事で笑い合いたい。そう思いながら私は塾へと向かった。
おわり
20230307