リボンの天使


私と同じ大きなリボンを頭の後ろで結っている少女ーーーなるちゃんと私はもっと個人的に仲良くなりたいと思い始めた。
うさぎに最も迷惑をかけられている、うさぎの親友同士、きっと仲良くなれると思うんだ。

「今日も来てるね!うさぎちゃんに美奈子ちゃん。それになるちゃんも久しぶりだね。美人三姉妹、勢揃いってところだね」

古ちゃんお兄さんの登場だ。大学終わったのかな?これからバイトかしら?

「美人だなんてぇ……そんな事、ありますけどぉ」
「美奈ちゃん……はぁ」

元祖美人戦士セーラーV、愛と美の女神の化身であるヴィーナスの生まれ変わりの私。美奈子は美人だと言う事は自覚済み。謙遜なんて、しないんだから!
って、そう言えばここはゲーセンだった。騒音の中、デカい声で喋っていた事を何故だか忘れていた。
私がここに来た理由の一つ。それは、この古ちゃんお兄さん目当てでもある。ここのオーナーの息子で、その上イケメン。そして、優しい!
アイツに似たヤツばかり追っていた私の唯一、全く面影の無い純度10000%のイケメン!いつか絶対、落とす!

「古ちゃんお兄さん、今からバイトですか?」
「ああ、だからゆっくりしていってね」
「勿論ですぅ~」
「あ、私は塾があるからこれで」
「えぇぇ~~~!せっかく仲良くなれそうだったのにぃ~」
「ありがとう、美奈子ちゃん。またゆっくりお話しましょう。今度は美奈子ちゃんのうさぎの迷惑話聞かせてね」

そう言って、左手を上げて大きく降ると笑顔を向けてゲーセンを後にした。
なるちゃんとはうさぎを抜きにしても、ずっと興味があった。あのでっかい宝石店。行ってみたいなぁって思っていたけど、一流企業だけど社長でもないパパの給料じゃ買えたもんじゃないってママが嘆いていた。
友達としてなら気軽に入れるかな?とかちょっとずる賢い事を考えていた。
後、探している宝石数点に巡り会えそうだなって思って。

「ねぇねぇ美奈ちゃん?」
「ん?どうしたの、うさぎ?」
「もうすぐなるちゃんの誕生日なんだけど、相談に乗って欲しいんだ」
「お易い御用よ♪でも、毎年あげてるしなるちゃんの事はうさぎが良く知ってるでしょ?」
「そうなんだけどさ。ほら、美奈ちゃんと色々似てるから、何かヒントになるかなぁ~、なんて」

なるほどねぇ。やっぱりうさぎも私となるちゃんが、似てるって感じたんだ。
と言うか、うさぎが、うさぎの中の潜在意識が似た人を選んでるんじゃないのかな?とフッと思った。迷惑をかけても怒らず笑って許してくれる人を、うさぎは無意識に自分で引き寄せているのかもしれないわねぇ。それもまた才能って奴ね!

「そぉねぇ……やっぱり宝石店の令嬢だから光り物は見飽きてるハズ。普通の方が喜ばれそう」
「普通……ってゆーと?」
「私と同じで大きなリボンが特徴だったでしょ?リボン好きなんじゃないかなって」
「なぁるなる♪もーてんだったわ!ありがとう、美奈ちゃん♪やっぱり頼りになるお姉さんだよ」
「お姉さんなんて……それ程でも、ありますけどぉ~」
「……美奈ちゃん、アハハ」

その後、ゲーセンを後にした私たちは、私が通うリボン店へと向かい、なるちゃんの誕生日プレゼントを二人で選ぶ事になった。

私のアドバイスの下、買ったリボンをなるちゃんの誕生日にプレゼントしたうさぎ。後日、とっても喜んでくれたと報告を受けた。




おわり

20230101 大阪なる生誕祭2023

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