前世アドヴィSSログ
マゼラン・キャッスルの第1王女として産まれ、この惑星と同じ名を与えられたプリンセス。
美の星金星に相応しく、容姿端麗で外見は美しいと評判のプリンセス。
王国とはまるで無縁な平民として生まれた俺は、会うことすら叶わず。いつか会えたらと願っていた。
しかし、その想いとは裏腹に、プリンセスはこの星を出て、月の王国へと行ってしまった。
月の王国のクイーンの命で、プリンセスの側近として仕えると言う。生まれた時からそう決まっていたそうだ。
決まりとは言え、俺は納得出来ないでいた。
彼女もまた金星のプリンセス。王位継承第一位で、この国を統治する者。そして、守られるべき存在。
そんなプリンセスが、別の星でその星のプリンセスを守っているなんて、何故だ?
“金星のプリンセスとして生まれた子は、月の王国のプリンセスの守護戦士のリーダーとして仕えよ”と代々の言い伝えがあると聞いた。
いつか会えると信じていたからこそ、そんな理由で、遠くの星へと行ってしまったプリンセスへの想いは募って行くばかりだった。
俺が平民であるばかりに、一度も会えない事が悔しくて恨めしがった。
どうして俺は、上流階級ではなかったのか?己の身分を呪った。
一目でもいい。会いたい。
膨らんでいくプリンセスへの想いは止まらず、俺は肩を並べるまでになろうと決意した。
「プリンセスを護る兵士になる!」
守られるはずのプリンセスは、この星と同じ色のドレスを捨て、月のプリンセスを護るセーラーの戦闘服に身を包む戦士となった。
リーダーとして責任感も強いプリンセスは、鍛錬を欠かさず立派に強い戦士として月のプリンセスを守っていると聞く。
それはこの星にとっても、とても誇らしいことではある。
けれど、やはり彼女もこの星のプリンセス。
この俺が、いつか彼女を護る騎士となりたい。
プリンセスにして戦士で、強い彼女には必要無いかもしれない。プライドも高いと聞く。
だけど、もしもの時があるかもしれない。
1%でものぞみがあるのなら、それにかけてみたい。そんな気持ちに支配されていた。
プリンセス・ヴィーナスに相応しい強い兵士になるべく、日々鍛錬した。
彼女に少しでも近付けるよう、努力を重ねた。
やがて俺は、王国の兵士のテストを突破する事が出来た。
ヴィーナスに、夢に一歩近づいた瞬間だった。
しかし俺は下級兵士のまま、地球へと派遣されてしまった。志半ばでせっかく近づいた一歩が、大きく後退してしまった。
月と地球は、互いに通じあってはいけない神の掟があったから。
地球にいては、一生プリンセスに会うことは叶わない。絶望的だ。
月に派遣されてプリンセスの守護戦士として頑張っている我が姫。
会うことは絶望的でも、そんな彼女を見習って俺ももっともっと鍛錬し、いつ来るとも分からないチャンスに備えようと誓った。
そう、プリンセス・ヴィーナスを護る騎士となるそのチャンスをーー。