浮気疑惑浮上!


ジェダレイ

大学の講義が休講になり、思いの外早く帰宅出来る事になった和永はレイに逢いたくなり、火川神社に向かう事にした。
道中、ゲーセンの前を通るとこの前の事を思い出し、またレイと来たいと思いながら店の中を何の気なしに覗いた。
中を一通り見回してみるとレイに似た女性がおり、胸が高鳴る。
いや、でも彼女であるはずが無い。
今し方会いたいと思っていたからただの幻影で、似た容姿の他人の空似の人物をレイに重ねただけ。
もう少しじっくり見ようと注意深く中を除くとやはりレイで間違いなかった。
しかも隣には見知らぬ男が立ってレイのゲームを楽しそうに見ているでは無いか!?あのイケメンは誰だ?知らないぞ…
どういう関係なのか知りたい!
男嫌いで有名な彼女が楽しそうに心を許すメンズが俺以外にもいるなんて考えたくもない。
直接対決を挑むべきか否か?悩んでいると後ろから声をかけられ、ハッとなる。

「和永じゃない?こんな所で何してるの?ゲーセン、入ればいいじゃない」

何の事情も知らない今最も会いたくない人物、彩都がハイテンションに話しかけてきた。
コイツに他意は無いがイライラする。

「あら、アレってレイじゃない?男と一緒?浮気?レイ、モテるからねぇ~♪ついに愛想つかされちゃったのね、アンタ!爆笑ね、うふふっ」

ゲーセンの中を見て、俺が中に入れずにいる理由を瞬時に理解した彩都は楽しそうに不敵な笑みを浮かべて笑う。
他人事だと思って楽しそうにしやがってと心の中で罵倒する。

「で、どうする気?」
「それをずっと考えてる。どうするのが正解だと思う?」
「さあ?自分で考えなさいよ!それが正解よ!」
「それが出来ないから聞いたんだけどな…」

所詮は他人事だ。面白がってるだけだとつくづく落胆した。
どうしようか考えていると今最も会いたい様で会いたくない人物の登場で事態は思わぬ方向へと向かう事に。

「あっれぇ~彩都っちにがーすーじゃない?2人してゲーセンの前でどーしたの?入ればいいじゃん?」

今この場に最も相応しくない人物、そう、美奈子だ。
会いたくない理由は山ほどある。
先ずこの状況を知ると楽しみそうなのが目に見えてわかる。
そしてレイの大親友。だからこそこの状況を説明出来、答えをくれそうだから会いたい理由でもある。厄介だ。

「もうレイちゃんとはるかさん着いてるかな~♪」
「おい美奈子、どういう事だ?」
「なぁに?レイちゃんとはるかさんと待ち合わせだけど?」
「はるかって、天王はるか?アイツか?」

中にいる男を指さして美奈子に確認させる。

「そうそう、何だ2人とも到着して楽しんでるじゃない!…ってどうしたの?」

和永は瞬時に理解し、安堵した。
以前、レイから天王はるかについて聞いていた。外部太陽系リーダーのセーラーウラヌスで男でもあり、女でもあると。

一方の彩都からは笑顔が消えた。
人の事言えた義理ではなかったからだ。
自分も彼女を疑ったが、天王はるかその人だったからー。

「浮気じゃなくて良かった~」

つい心の声が出てしまった和永はこの後の展開に後悔した。
美奈子に大爆笑され、その後レイにまで暴露されたから。

「レイちゃんが浮気?男嫌いなのに?でもそー言えば公斗もはるかさんと歩いてる所見て私が浮気したって焦ってたわね」

へぇ~リーダーも随分と彼女に振り回されてるんだな。
色々心労はあったものの冥土の土産が出来て儲けたと思う和永だった。

END

2021.04.04 四四の日

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