浮気疑惑浮上!


クン美奈

大学の帰り、国家試験が近く参考書を買う為本屋に寄ろうと麻布十番付近を歩いていた公斗。
ふと前を見るととても見慣れた金髪に赤いリボンの後ろ姿を発見する。ー美奈子である。
トレードマークの赤いリボンもそうだが、例えどんな姿をしていても彼女の事はすぐに見分けがつくと自負していた公斗は目の前の金髪赤リボン女は間違いなく美奈子だと確信する。

しかし、それとは裏腹に目の前の光景にとても戸惑っていた。
何故なら、美奈子と思しき人は1人でいるのではなく、男性と一緒にいるからだ。しかも腕を組んでいる。
どういう事だろうか?最初は人間化したアルテミスかと思った公斗だが、どうも風貌が違う。アルテミスは白髪で長い。でもこの男は短髪だった。自分が見間違うわけが無い。では誰だ?信じたくはないが、浮気だろうか?

疑ったりしたくはないが、美奈子に限ってそんな、と心当たりがないわけが無いだけに動揺を隠せない。
ここの所忙しく、放ったらかしにしていたし、何なら彼女は恋多き女で一目惚れの鉄人である。
そして美人で明るい彼女が本気を出すとモテる。
もしかしたら…と言う不安に駆られ、激しく動揺してしまう。
それでも何があっても自分を選んでくれると信じていたし、特別だと安心していた。安心しきって胡座を書いてしまっていたと後悔した。

「美奈子!」

思わず声をかけてしまった。
余裕を無くしてしまい、後先考えず我を忘れての行動の末だった。

「アレ?公斗じゃない!出不精のあんたがこんな所でどうしたの?」

声をかけると気づいてなかったらしい美奈子が笑顔で振り向いてきた。
浮気現場を彼氏に目撃されたにしては動揺せず、寧ろ堂々たる態度である。自分の方が動揺を隠せないでいる。…浮気、では無いのだろうか?

「あぁ、美奈の彼氏か?」
「そう!彼氏の公斗♪」

話の展開が見えず、置いてきぼりを食らう公斗は考えを巡らし、色んな可能性を考えていた。すると美奈子から意外な言葉が帰ってくる。

「こちら、はるかさん♪外部太陽系リーダーのセーラーウラヌスよ!」
「…」
「初めまして、天王はるかです。噂は美奈から聞いてますよ?仏頂面のおじさん笑」
「あぁ、どうも」

一体どんな噂を吹き込んでいるのかはさて置き、浮気では無かったことに柄にもなくとてもホッとしていた。
セーラー戦士と言う事は男ではなく女だと言うことも同時に判明して胸を撫で下ろす。

その後、はるかと別れた美奈子はそのまま公斗と一緒にマンションに向かう最中、何故か何がどうなったか浮気を疑っていた事を暴露させられた。

「アハハハハハハハ~~~~~、ひーお腹痛い!笑い過ぎて腹筋崩壊!私が浮気?ブァハハハハハ~~~マジ勘弁して!笑い止まんない」

お腹を抱えて大爆笑される始末。
全く、人をなんだと思っているんだ。
何がそんなに面白いんだ。心配して損した。

美奈子曰く、はるかの彼女であるみちるが演奏の為遠征していて、その隙にゆっくりデートがしたかったと言う事らしい。
全く、そう言う事は事前に言っておいて欲しいもんだ。

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