暑さになんて負けてらんない!


確認など取らず、どうせ勉強して家にいるという大前提で体は勝手に亜美ちゃんのマンション、もとい億ションの前に到着した。
亜美ちゃんの家へ来る度思い出す。初めて来たあの日のこと。
伝説の聖剣を抱きかかえて来たのよね……。
今考えなくてもどう考えても怪しさしか無かったなぁ笑。
なんて懐かしみながら亜美ちゃん家のドアの前に到着する。呼び鈴を鳴らす。

「はーい、あら美奈じゃない。いらっしゃい。どうしたの?」
「亜美ちゃんどうしてるかなって思って。いてくれてよかった」
「朝からずっと勉強してたからいるわよ」

……ですよねぇ?亜美ちゃんはそーだと思ってた。
玄関に入るといつも真っ先に確認するのは聖剣を落として付けてしまった傷。
あれ以来リフォーム等はされず、そのまま残っていた。ごめんね大理石ちゃん。痛かったよね?と心の中でいつも謝っている。

そして今日はもう一つ、見たことの無い男性サイズの靴が置いてあった。パパが来てるのかな?
誰か来ているのか?と質問する暇もなくリビングに案内されて入って行く。

「お邪魔しま~す♪」
「邪魔するなら帰りなさいよ、じゃじゃ馬娘!」

中にはまさかの彩都っち……。
いや、まさかでもないけど。
亜美ちゃんの彼氏だから来ててもおかしくなんかないわけで。
他でもない私が邪魔者よね。
でも来たばかりで帰るのもねぇ……。
しかも外は39度の炎天下!!
容赦ないサウナ状態の東京で茹だりそう。
無理よ、無理!

「うげっ彩都っちも来てるんだ……」

思わず心の声が漏れる。

「うげって何よ!それはこっちのセリフよ!嫌なら帰りなさい」

あー言えばこー言う。そーゆー所が兎に角苦手。

「アクアリウムを見に来たの。熱帯魚見て涼しくなりたいじゃない」
「そんな事だと思ったわよ。夏休みの宿題しなさいよ」
「そうよ美奈、宿題少しずつでもやっといた方がいいわ」
「まだ夏休みは始まったばかりなのにぃ……」

2人ともどんだけ宿題、と言うか勉強の鬼なの?
ママ以上に言ってくる。

「後でやって無くて泣きを見ても知らないわよ?」
「そうよ、泣き付いて来ても手伝ってあげないわよ!」

彩都っちは兎も角、亜美ちゃんも結構冷たい。

「うわぁ~熱帯魚増えてアクアリウム増設されてる~♪涼しい♪♪」
「都合が悪いと無視するのね?」

そーでーす!都合が悪いと聞こえないふりするし、右から来たものを左へ華麗に受け流すわよ!
兎に角、ここには癒されに来たの!
勉強しに来たんじゃないのよ!

「ここは天国ね!これで彩都っちいないともっと天国なのに……」
「文句あるなら帰りなさい!私たちは仲良く勉強してるから邪魔よ」

確かにここにいても癒されそうにないし、お昼も近いし帰ろうかな?
またいつでも来れるし。2人のラブラブ勉強会に邪魔しちゃ悪いし。
単に勉強したくないだけだけど。

「うん、分かったわ!私はもう帰るね!」
「本当に帰るのね?やけに素直ね?」
「まぁね、2人のラブラブ勉強会の邪魔はしたくないもの」
「ラブラブ勉強会って……」
「それに、お昼も近いからお昼ご飯食べなきゃだし」

適当にそれらしい事を言って帰る方向へと向かう。

「それじゃあね!」
「美奈、水分はきっちりとって熱中症対策ちゃんとするのよ!」
「了解♪お邪魔しました~」

亜美ちゃん家も彼氏がいて撃沈だった。
次はまこちゃん家かな?
緑が増えて涼しいかもしれないし。
さて、そうと決まればまこちゃん家へとレッツラゴー♪

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