暑さになんて負けてらんない!


夏休みが始まり、梅雨も開けて本格的な夏がやってきた!
待ちに待った夏休みに、夜はゆっくり夜更かしして朝は寝坊出来ると喜んでいた。
ママからはいつまでも寝かさないって言われたけど、昼まで寝てやる!って意気込んでいた。
だけど、実際はそうもいかなかった。

朝から容赦なく照りつける太陽に汗ばむ程の暑さ。
そこに加えて梅雨が明けてフルスロットルに元気に鳴く蝉の大軍の暑苦しいハーモニー。……寝てられない。
うるさい蝉の鳴き声で安眠妨害されてイライラする。
いや、蝉だって一生懸命生きてるんだろうけど!
たったの7日の命だっけ?その7日間を悔いなく生きなきゃ行けないんだろうけど、鳴き声うるさ過ぎるのよ!
もうちょっとボリューム何とかなんないの?
迷惑って言葉を知らないわけ?

暑さと蝉の鳴き声で完全に目が覚めてしまった。
時計を見るとまだ7時だった。学校がある時より早い目覚めだった。
ママに起こされるよりも先に目覚めてしまった。損した気分になる。だけど、ママの鼻を明かせるからいっか!
でもアルテミスの姿はもう部屋にはいなかった。
猫でもこの暑さはこたえるのかも。

「おはよぉ」

パジャマから服に着替えてリビングへ行くと案の定ママが驚いていた。

「あら、美奈早起きじゃない!」
「この暑さと蝉の鳴き声で寝てられなくて……」
「じゃあこれからは毎日蝉の目覚ましで起きれるわね」
「……」

起こさなくても蝉の鳴き声で起きるとこれから先の夏休みの私の行動を予想してママは上機嫌になった。
そう毎日蝉の鳴き声で起こされてたまるもんですかってーの!

朝ごはんを食べると、家にいても暑いだけだし涼みに行こうとまだましな気温のうちに外に出かけることにした。
とは言えまだまだ朝は早い。
コンビニ位しか空いてないから仕方なくコンビニへと出かける。
コンビニはクーラーが凄く効いていて、すっごく涼しく快適だった。
とりあえず長めに暇を潰せるものと言えば本しかない。
私は適当に雑誌や漫画を立ち読みして時間を潰す事にした。

どれくらい時間が経ったのかは分からないけど、漫画に没頭していると金髪にお団子ヘアをあしらった人が私の視界の片隅に入って来た。
うさぎ?と思いながら本から目を離して確認してみると、ビンゴだった。
声をかけようかと思っていると、うさぎはまもちゃんと一緒で、このクソ暑いのにベッタリとくっ付いていた。
行くのを躊躇っていると、何とくっ付く以上に暑い行動をして見せた。ーーキスだ。
2人は公共の場にも関わらず、どーどーと!キスを!し始めたのよ!余計に暑いわ!

うさぎには会いたいわよ?
でもまもちゃんと2人の時に会うのは私としてもはばかられるのよね……。
暑い夏の始まりに熱々の2人に充てられたくないのよね。
ラブラブを見せつけられるのも無理!
忙しくて相手にして貰えない自分が惨めに思えてくる。
って言っても夜には会うんだけど。

うさぎに会うと言う選択肢が無くなり、コンビニで立ち読みも飽きた私は亜美ちゃんの家へ行こうと思い立った。

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