コスメの魔法


ジェダレイ

和永はスッピンでも整った美しい顔のレイがとても好きだった。
だけど、メイクをした彼女の顔もきっともっと綺麗だろうなぁとぼんやり思っていた。

「レイさんはメイクはしないの?」
「どうしてですの?しませんわ!」
「何で?きっともっと綺麗になるのに…勿体ない」
「スッピンでも知らない男性に求愛されるのに、メイクなんかした暁にはまたどれだけ言い寄られるのかと思うと…考えただけで疲れますわ!」

キッパリとモテ自慢をされてしまった。
言われればそうだ。
男嫌いなのにモテる必要などどこにも無い。
ましてや今は俺と言う彼氏がいる。
彼女がモテるのは自慢ではあるが、同時に心配でもある。

けれど近い未来必要になるのは確かだ。
何より俺がメイクをしてより綺麗なレイさんを見てみたい!
そうだ、プレゼントしよう!と思い立った。

でもこんな美人に整った顔に合うメイクってどんなんだろう?と思い悩む。
ネットで色々調べるも多すぎて逆にもっと分からなくなった。

そして後日、百聞は一見にしかず!と思い立ち、デパ地下のコスメコーナーへと足を運んだ。
見てもさっぱり分からない為、美容部員さんへアドバイスを貰うことにした。

「彼女のプレゼントにあげたいんですけど、何をあげればいいか全く分からなくて…」
「彼女さんはどんな方ですか?」

スマホの写メを見せる。

「とても美人な彼女さんですね!お客様もとてもかっこいいですし、お似合いのカップルで羨ましいです」

彼女を褒められ、自分自身も褒められ、すっかり上機嫌になった和永は、美容部員から見立てられ勧められたコスメを一式買うに至った。

そして会計して結構な金額に、一気に現実に引き戻され血の気が引いた。
諭吉が3人飛んでった!
そして和永は女性の大変さを知るのであった。






ネフまこ


この日、2人は珍しくデートをしていた。
いつもは家でまったりが多い2人。
勇人がバイトの給料が入ったからと何か奢りたいとの事だったが、特に欲しいものもなく、まことは困ってしまった。

特に目的もなく歩いているとコスメショップが目に入った勇人はまことに入ろうと勧める。

「コスメはどうだ?」
「コスメかぁ~そう言えば料理や植物に興味あっても、メイクにはあんまりだったなぁ」
「だろ?今も十分綺麗だけど、もっと綺麗になると思うぜ?買ってやるから見てみろよ!」
「…じゃぁお言葉に甘えてみようかな?」
「よし、決まった!」

2人でコスメショップに入り、中を一通り見渡すと、バラバラに行動し始める。

「うわぁ~いっぱいあるなぁ~」

元々綺麗なものが大好きなまことは心ときめく。

「マジで色々あるなぁ~。楽しいだろ、まこと?」
「うん!」

バラバラに物色していた2人だが、いつしか行動を共にし、コスメを一緒に見ていた。

「やっぱ良い顔してんなぁ~」
「ん?急に何だよ?」
「いやぁーやっぱ綺麗な物に囲まれて楽しそうにしてるまことってときめいててキラキラしてて良いなと思ってさ。輝いてるぜ、まこと!」

美容部員が見ている前で照れること無くストレートに思った事を伝えるとまことは喜び、美容部員が照れて目も当てられなくなってしまった。

「やっぱそーゆーの見るとワクワクするんだよな~。柄じゃないのに…」
「そんな事ねぇよ!誰だって、どんな奴だって自由にトキメク権利あるって!俺も男だけど初めて入ったからすっげー新鮮で楽しいぜ?」
「マジか?勇人はいつも自分の感情に忠実だよな!」
「まこともそこは一緒だろ?」
「そっか!」

似たもの同士って奴ね!と心の中でこのやり取りを間近で見ていた美容部員は思った。
そして2人ともとても背が高い為、モデルみたいだなとぼんやり思っていた。

その後も2人仲良くコスメを物色し、勇人が見立てて選んだり、まことの問いかけに答えてあげて終始一緒に選んで会計を済ます。

「今日はありがとうな!」
「まことの笑顔のためならお易い御用さ!メイクしたイケてるまこと、楽しみだぜ!」

ごく自然に勇人がコスメのショッパーを持ち、まことの家へと帰路に着いたのであった。

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