劇場版eternal基準の話
『元祖ガチ勢の2人(クン美奈)』
刻は1月4日午後7時、美奈子は恋人の公斗のマンションに遊びに来ていた。
いや、遊びではなく決戦前夜の前乗りと言った方が正しい。
と言うのも日付けが変わる5日の午前0時にある物が発売される為、コンビニを梯子する予定をしていた。
早く来すぎてしまったと思った美奈子だが、そう言う雰囲気になり3戦ほど交えた為(え?)早く来るのも良いもんだと幸せな気分に浸っていた。
しかし、時計を見て心臓が止まりそうになった。
そうこうしているうちに23時を回っていて、決戦の時が刻一刻と迫っていた。
「ちょっと公斗!まったり寝てる場合じゃないわ!私たちの本番はこれからでしょ?もう23時過ぎてる!」
「マジか!?ゆっくりし過ぎた…俺としたことが」
「服きて、行く準備するわよ」
「了解」
準備を済ませると日付けが変わる15分前になってしまい、結局余裕で早めに来たはずがギリギリになってしまった。
手始めにマンション近くのローソンへと徒歩で来た美奈子と公斗はまずレジ横にある肉まん等が温められているケースを確認する。目的であるタキシードチキン仮面の絵が書かれているからあげクンだ。
分かりやすくざっと10個程並べられているのを確認した2人は顔を見合せ、目を見くばせて頷きあった。
とりあえず目的の1つは買えることが確定し、ホッとしてもう1つの目的であるエターナルセーラームーンパッケージのカフェモカが置いてあるドリンクコーナーへと一目散に駆けて行く美奈子。
とても分かりやすく陳列されており、すぐに見つけた美奈子は大はしゃぎで向かって行った。
「公斗!ヤバいわよ!シークレットがタキシード仮面様よ!」
「本当か!?」
先に着いて吟味していた美奈子がゆっくり来ていた公斗に朗報を叫び教えると慌ててドリンクコーナーへと向かう。
「これは、真にマスターだ…」
「良かったわね!今回もちびムーンかと思ってたから」
「あぁ…感無量だ」
「でもこれ、乙女のほんのりビターカフェモカって商品名なのよねぇ~。タキシード仮面様、公式的に乙女認定されちゃったのかしら?」
「…違うだろ?単に衛の好物がコーヒーやチョコだからだろ?」
「今回はローソン側にファンがいるのかもね」
「ローソン様々。感謝だな」
買い物カゴにありったけのエターナルセーラームーンとタキシード仮面のカフェモカを入れてレジに持っていって会計をしに行く。勿論、タキシードチキン仮面も全て買う事を忘れずに。
会計を済ませると公斗は両手いっぱいにカフェモカを持ち、美奈子はからあげクン担当で持ってローソンから出る。
外はかなり寒く、冷たい手に息をふきかけて震える美奈子を見た公斗は、左手を自分のポケットに招き入れる。
先程の情事もあり、照れ臭くなる美奈子だがとても嬉しかった。
数件回る予定をしていたにも関わらず買いすぎたのと徒歩だった為、一旦帰ることにした。その間中ずっとポケットの中で恋人繋ぎをしていた。
夜中で人もいないため、ロマンティックなデートそのものである。
マンションに着くととりあえずダイニングテーブルに買ったものを置き、車の鍵を取り再びローソンへと出かける。
今度は少し遠い店舗だが、同じくタキシード仮面のからあげクンもタキムンカフェモカも置いてあり、今回は少しずつで止めるに至った。
その後も数店舗ほど周り、その都度少しずつ買うに留めて真夜中ローソン梯子は終了するに至った。
流石にかっさらってその店舗に行くファンに申し訳なく思ったのと結構手に入れて満足した結果の事だった。
マンションへ戻り、買ってきたからあげクンとカフェモカを片付けることにした。
「からあげクンもモカも結構あるわね汗」
「冷蔵庫に入り切るかが問題だな。一応入る様スペースは取ってあるが…」
「冬だから外でも平気っしょ?」
「お前、モカ飲めるか?」
「私ももう大人よ?まっかせっなさぁ~い!」
「じゃあ全部お前が飲め!次いでにからあげも食っていいぞ」
「はぁ?流石に全部なんて無理なんですけど?太るわ!私、アイドル志望なんですけど?」
「大丈夫だ。戦士の訓練兼ねて運動すれば太らん。脂肪相殺で死亡だ」
「何それ、オヤジギャグつまんない!ってか飲み食いしないならこんなに買わないのに!お金の無駄じゃない」
「俺はタキシード仮面のパッケージだけ欲しいんだ。それ以外に興味は無い」
「…どんだけマスター命なのよ!?」
「お前もエターナルセーラームーン馬鹿みたいに買ってるじゃないか?」
「うさぎ大好きなんだもん!」
「俺もお前と一緒で衛を愛してる」
「…(若干引く)ねぇ、私がアイドルになってローソンと今回と同じようなコラボしたらまもちゃんみたいに必死になって買いまくってくれる?」
「買わん!(かなりキッパリ言い切る)」
「何でよ?ヒドイ!」
「実物で堪能するから必要ない!(またまたキッパリ言い切る)」
「…っな/////」
そういう問題じゃないんだけどなと思いつつも突然のストレートな言葉に赤面して何も言えなくなる美奈子を抱きしめ押し倒す公斗。
2人の夜はまだまだ始まったばかりである。
おわり
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