恋は三次元♡

『ネフまこ』


恋愛マスターであるネフライトはパンデミック4の中で一番初めに動いた。直感で選んだのは強そうな見た目のまことだ。

「一目見たときから、君が一番」

狙いを定めていた。

「あたしのどこが?」
「守ってくれそう」

ストレートに伝える。
それがネフライトの戦法。
嘘偽りや思っても無いことを言ったところでボロが出る。ならば、思っている事を素直に言う方が後々楽だ。取り繕わなくてもいい。嘘は嘘を重ねるだけ。そんなミルフィーユは食べたくは無い。
相手はセーラー戦士なのだ。それらしい言葉を言えば落ちるとネフライトは単純に考えた。

「え!?」

ストレートに言われたまことは意表を突かれた。

「でかい!怪力!喧嘩強そう!」

凡そ思春期の女の子にかけるには似つかわしい言葉を並べる。普通の女性ならこんな事を言われれば傷付き、泣くか怒るか。
しかし、その通りだったまことは動揺していた。女の子であれば嫌な言葉の数々は、嬉しい褒め言葉だった。

「まこちゃんはこう見えても料理が得意なのよ!」
「まこちゃんはこう見えても裁縫が上手なんだから!」
「まこちゃんはこう見えても……」

なんて返事をしようか考えていたら美奈子達がちゃちゃを入れて来て、出鼻をくじかれる。
見た目と違うとフォローしてくれるのは嬉しいし有難い。だが、みんな口々に“こう見えても”って冒頭に付けて、本当に彼女達にはどう見えているんだろうか。この後、問い詰めて聞いてみたいとまことは決意した。

「随分とストレートに言ってくれたね」

悪気は無いのだろう。本当にそう思っていて守って欲しいと思っているに違いない。
ネフライトは細身。細マッチョと言う事もあるかもしれない。
しかし、華奢な身体を見てまことはそういう印象を受ける。守ってあげたいと持ち前のと母性本能が芽生える。

「違うのか?」
「いやまぁ、合ってるけど」
「だろ?しかも女性らしくもあるようだし、言うことなしだね!強くて乙女。理想だ」

スラスラと言葉が出てくるネフライト。

「なっ///」

ネフライトの褒め殺しに赤面するまこと。
元々惚れっぽい性格。選ばれた時からタイプだった。

「……私で、良いのか?」
「ああ。寧ろ君以外考えられないよ、まこちゃん」

気が付くと抱き締められていたまこと。今までこの見た目でそんをし続けてきた。女として見られる事が少なかった。そのままを受け入れてくれる人は現れなかった。
しかし、まことを抱き締めてくれているネフライトはそのままを受け入れ、褒めてくれる。嬉し涙が頬を伝う。涙から侵食されてしまった。

折角心許したのだが、結局敵の罠と知ったまことはやっぱりそういうオチかと悟った。




おわり

20230913 ネルケ版セラミュー初演から丸10周年記念日

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