恋は三次元♡


side ジェダレイ


「僕たちだけだね、相性ピッタシ!」
「何言ってんの?」

パンデミック4の一人であるジェダイトに話しかけられ、レイは戸惑う。
何が相性ピッタシなのか。レイには愚か、言った本人であるジェダイトですら分からないでいた。
ただ、意味など後から着いてくる。声を掛ける理由が欲しかった。何だって良かったのだ。

「クールビューティー」

ただ、相性ピッタシかは分からないが顔は美しいし性格はクールで口数が少そうだとの印象を抱いた。ジェダイト自身も外見には自信があったし、よく喋る。口数が少そうなレイは何かとちょうど良く、ピッタシだと感じた。

「だから?」
「高貴な顔立ち 流れる物腰」

乙女ゲームをしているのだから、褒めておけば落ちるだろうとジェダイトは思った。五人のセーラー戦士を引き離し、エナジーさえ奪えればこっちのもの。

「やっぱり美しい顔だね」
「その手には乗りませんわ!」
「クール!そんな所も素敵だ」

褒め殺し作戦。
しかしーー

「信用出来ませんわ」

一刀両断。
中々に手強そうだ。
ならば時間をかけて落とすまでだとジェダイトは気合いを入れる。

「つれないなぁ~。折角美しいのに勿体無い。僕の事、嫌い?」
「……」
「嫌いじゃ無いよね?嫌いだったら着いてこないし」

脈アリだと思って良いってことだよね?と優しい口調でジェダイトはレイの心に訴えかける。

「はぁ……」

レイの心に土足で上がり込み、押して押して押され捲られ戸惑いのため息を漏らす。
今までも何人何十人も見知らぬ男性に言い寄られ、その度にクールに交わしてきた。
それなのに今度はどうだろうか?心が動かされている事に気付き、そんなはずは無いと自身の変化についていけないでいた。
正に、ため息から侵食されていたようだ。

「図星?」
「……が足りないわ!」
「え?」
「チベットで修行よ!」
「お、良いねぇ~!」
「え?」
「俺と一緒にって事だよね?大胆だな、君も」
「はい?」

ジェダイトの言葉にレイは動揺する。勿論、そんなつもりはなかった。ただ自分を律する為に気合いを入れたに過ぎなかったのだ。
しかしジェダイトはそうは思っておらず、同行の意志を示してきた。まさかの展開にレイは困惑する。

「違った?」
「え、いや……」

ここまで完全に押して来ていたジェダイトだが、ここで初めて引いてみた。その事に戸惑うレイは完全に掌で踊らされる形になり、形勢逆転する。
釣っていたつもりが釣られていた。

「そうね、良いわ!チベット修業の旅、ご一緒しましょう」
「良し!決まり、だね!」

勢いで一緒に行く約束をしてしまったレイ。
マトモに男性とお付き合いすらした事など無いレイ。いきなり海外旅行とはハードルが中々に高い、大胆な行動に出たと思ってしまったが、なる様になるだろうと考えた。
それに一緒に行きたいと言う気持ちが既に勝っていて、楽しみになっていた。

しかし、その約束は永遠に果たされることは無かった。




おわり

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