あたしの知らない恋物語


さて、次はまこちゃん家かな?いると良いんだけど。

「まーこちゃん!」

呼び鈴を鳴らして大声で呼びかける。
すると、まこちゃん本人では無くて、まさかの大男がさも当然の様に出てきた。

「おー、良く来たな!ちびうさ」

ジェダイト以上に、ガサツだと感じた。
そして私はレイちゃんと美奈Pで免疫が付きつつあったから、余り彼氏?と驚かない様になった。代わりに、この人の性格に驚いた。

「まこちゃんは?」
「おー、いるぜ!ま、入れや」

私の事、誰だか分かっててこの態度だと思うけど、本当に飾らない態度にある意味感心するわ。
それでいて、ここは俺の家感が漂ってる。

「ちびうさ、久しぶりだな」
「まこちゃん、久しぶり~」
「レイからちびうさが来てるって聞いて、久しぶりに食べて欲しくて腕によりをかけて料理作ってたから手が離せなくて、勇人に出てもらったんだ。びっくりしたろ?」
「まぁ、色々と。彼氏、なんでしょ?」
「えへへぇ、そーなんだ」
「どーも、改めまして勇人だ。よろしくな」
「私はちびうさ、よろしく」

めちゃくちゃ簡単に自己紹介して、右手を出してきたから答えて握手をした。
小さなレディの私に、結構な握力で握りしめて来て、普通に痛い。こっちに来た時着地失敗して痛めたおしりの痛みまで復活しそうだ。
なるほど、力が強いしガタイもいい。まこちゃんの彼氏としてこれ以上申し分の無い完璧な人だ。任せられそう。

「前世のネフライト?」
「お、正解!流石に三人目ともなると衛譲りの感の良さで気づき始めたか!ガハハハハ」
「まぁね?つまりはこーゆー事でしょ?」

私は冷静にこの状況を推理し始めた。

「まもちゃんの側近が何らかの形で四人とも蘇って、それぞれ内部戦士と恋仲にある。でしょ?」
「パーフェクト!」
「お褒めに預かり光栄」

ってか何?私、推理しにここに戻ってきたの?何か、ネフライトに踊らされた感。

「なんて呼べばいい?ちびうさでいいか?」
「いいよ。みんなそう呼んでるし」

ってか、ちびうさ以外呼ぶ気無かったっしょ?

「じゃあ、ちびうさで決まりな!まことと俺、お似合いだろ?」
「そうね、髪の色もウェーブかかってるとことか、怪力で背が高いのとか似てるかな」
「だろ?俺ら、愛し合ってるからな!」

何か会話が噛み合ってない気がするけど、大丈夫かな?
でもまぁ、ネフライトがまこちゃんの事好きなのめちゃくちゃ伝わって来る。まこちゃん、幸せ者じゃん!

「まこちゃん良かったね、彼氏が出来て♪」
「うん、そーなんだ。勇人、いい奴だろ?」
「ああ、うん、まーね」

ベタ惚れですな、まこちゃん。私にはこの人の魅力、今の所あまり分からないから何とも言えないけど、まこちゃんが選んだ相手だ。きっと素敵な人に違いない。
美奈Pと一緒で、彼氏を欲しがってたのは知っていたし、本当に彼氏ができて良かった!

「勇人、まこちゃん泣かせたらまもちゃんに言いつけるからね!」
「おお、怖ぇ~」
「いつまでもお幸せにね」

まこちゃんの料理を食べ終えた私は、二人の邪魔にならないようにまこちゃん家を出て行った。

次は亜美ちゃん家って事になるな。
二度あることは三度あった。
きっと亜美ちゃんの家にはゾイサイトって人がいるはずとすっかり免疫が着いていた。

「あーみちゃん」
「いらっしゃい、ちびうさちゃん。待ってたのよ」
「初めまして、おちびちゃん。じゃ無くて、スモールレディ。お待ちしておりましたわ。私は彩都。亜美の彼氏よ。そして、ゾイサイト。前世からの衛のお友達よ」
「スモールレディ・セレニティです。以後お見知り置きを」

長い髪を括って、中性的で端正な顔立ちのゾイサイトに、思わずうっとりしそうになる。

「へぇー、聞いていた通り、外見はうさぎにソックリね。小憎たらしいわ~」
「それはどうも」

どうやらうさぎの事は余り好きじゃないらしい。

「でも、可愛いわね」
「ありがと」

何で亜美ちゃんはこの人と付き合っているんだろう。と言うか、レイちゃんの時もだけど、あの亜美ちゃんに彼氏か……

男の人に興味無くは無かったみたいだけど、ラブレター貰うと蕁麻疹が出ると言う何とも贅沢で特殊な体質の亜美ちゃん。別角度で心配してたけど、克服出来たのかな?と余計な心配が頭をよぎった。

「亜美ちゃん、幸せ?」
「私と付き合ってんのよ?幸せに決まってるでしょ!」
「ゾイサイトには聞いてませんー。亜美ちゃんに聞いてるの!」
「んまぁ、可愛くない子!」
「ええ、そうね。幸せじゃないなんて言ったらバチが当たるわ」
「幸せなんだね」

素敵な笑顔で答える亜美ちゃんを見て、幸せなんだと確信を得た。

「じゃあ、末永くお幸せにね」

彼氏を欲しがっていた美奈Pやまこちゃん。男嫌いのレイちゃんに、ラブレター貰うと蕁麻疹発症する亜美ちゃん。うさぎだけじゃなく、四人にも素敵な恋人が出来ていた。
ここが、あれから何年後かは分からないけど、私がいる未来とは全く変わっていて、驚いたけれど、みんなそれぞれ幸せそうで良かった。

「後はまもちゃん家だ!」

それでもやっぱり衝撃は強くて、まもちゃんに直接色々聞かなきゃ!って突き動かされた。

「まもちゃん、いるー?」
「ちびうさ、久しぶりだな。よく来たな!」
「わーい、まもちゃんだー!」

知った顔が出迎えてくれて、ホッとした私はまもちゃんの胸へとダイブした。

「ちびうさぁー!私のまもちゃんから、離れなさーい」
「あっかんべーだ」
「かんわいくなぁ~い」
「ってかうさぎ、やっぱりここにいたんだ!」
「あら?家行ったの?」
「真っ先に行ったよ!なのにいないから、何も知らなくてとんでもない目にあったじゃない!」
「どーゆー事?」

何の話?とやはり鈍感なうさぎは察しが悪かった。そこが何だか懐かしくてホッとした。
そして、まもちゃんとうさぎに今日ここに来てからの事を話して聞かせることにした。
レイちゃん達四人にイケメン彼氏が出来ていたこと。その彼氏はまもちゃんの前世での側近である四天王だったこと。

「あの四人って確か、死んで翡翠になったって聞いたよ?なのに何で?」
「どうして蘇ったか、だよな」
「それはね!」
「ゴールデンクリスタルで四人を甦らせたんだ」
「なるほどねぇ~、まもちゃんの聖石なら可能ね」
「ああ、うさこの銀水晶では無理だったのは、月の力じゃ不十分だったんだな」
「根っからの地球人だもんね、四天王って」
「ああ、だから銀水晶では生きかえれなかったんだ」
「まもちゃんも、これで寂しくないね♪」
「ああ、まぁな」
「アンタのいる未来とはやっぱり違っちゃったよね?」
「ああ、うんそうだね。でも、仕方ないし、そうあるべきだよ!未来は幾らだって変えられるもん。変えていいんだよ!二人が付き合っている限り、私は生まれるんだから、気にしないで」
「ちびうさ……」
「大人だな」

頭が上がらないとまもちゃんは笑った。
もう既に違う未来、パラレルワールドが出来上がっている。
私が過去に干渉してもしなくても、きっと色んな世界が出来ていたと思う。だから、気にしない。私は私で、未来へ戻って私の使命を全うするだけだから。

「あ、そーだ!うさぎ、あの時は本当に、ありがとう」
「うん」
「ずっと、ちゃんとお礼が言いたかったんだ」
「大丈夫よ?アンタの気持ちは充分伝わっているから。でもま、短い言葉だったわよねぇ~」
「だから、ゴメンって!」

うさぎ!って言いながら、私は泣きながらうさぎの胸の中へと顔を埋めた。
きつく抱き締めて来たうさぎも、つられてもらい泣きしていた。

「それと、ママが二人に宜しくって言ってた」
「また、暫く過去にいるのね……」
「騒がしい日々になりそうだ」

こうして久しぶりの過去への一日目は、波乱な幕開けとなった。
思えば、着地に失敗した時点でフラグが立っていたのかもしれないと驚きの連続の一日をまもちゃんの家で振り返った。




おわり

20230404 四四の日

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