BAR Endymion


クン美奈


「プロデュース業、順調みたいだな?出す曲、軒並み大ヒットでチャート賑わってるみたいだし」
「嗚呼、お陰様でやっと軌道に乗ったと言った所だ。美奈子のお陰だ」
「その美奈子さんとも公私共に順調、と言った所か?」
「茶化すなよ。その美奈子を待ってるんだが…」
「押しも押されぬ人気歌手だから忙しくて中々…と言った所か?」
「その方が俺としても色々安心だが、ただの遅刻、と言う線が濃厚だな。ふふっ」

音楽プロデューサーとしてうなぎ登りの人気の公斗は、自身プロデュースの1人である美奈子とは恋仲にある。
曲作りの気分転換にBAR エンディミオンに来るのが日課で、ここで生まれた曲も多いとか?
そんな公斗は、久々に仕事の場以外で美奈子と会う約束をしていた。
どちらも売れっ子で名が知れた者同士、ましてやプロデューサーと歌手と言う関係で知られる訳にも行かず、親友の衛が経営するこのBARが会うのに好都合でいつもここで密会しているのだった。
事情を知る衛はいつも快く後押ししてくれる。
そしていつも待ちぼうけを食らう公斗と他愛もない話で一緒に待ってあげていた。

「おまた~♪」
「やっと来たか?仕事、では無さそうだが?」
「相変わらず鋭いわね…そうよ、ただの遅刻ですぅぅぅ~」
「着けられてないな?」
「抜かりはないわ!私たちの恋は秘密、でしょ?燃えるわよねぇ~♪」
「楽しむな!苦労が耐えない…」
「なっによそれ、ちょ~失礼じゃない!」
「そう言う意味ではない!」
「じゃあどーゆー意味よ?」
「愛してる、と言う意味だ。馬鹿」
「なっ//バ、バカって…」
「今夜は返さないから覚悟しとけ!」
「命令形?良いわよ!受けて立つわ!飽きるまでとことん付き合ってあげるから後悔しても知らないからね!」
「意味わかって煽っているのか?」
「わかってますぅ~バカにしないでよね!メイクラブでしょ?望む所だわ!」
「メイッ!?」

仕事上ではちょくちょくあってはいるが、あくまでプロデューサーと歌手と言う関係を徹底して崩さないプロ根性でオンオフしっかりしている2人。
ましてや今やオファー殺到で忙しい2人、プライベートで会う時間が限られ、蛇の生殺しを食らっており、その時間が愛を育て、二人共に限界突破寸前だった。

「だってそうでしょ?もう何ヶ月もプライベートで会ってない!蛇の半殺しよ…」
「それを言うなら蛇の生殺しだ。半分殺してどうする…。まぁ、俺も限界だ」

そして2人は時差を設け別々に店を出ていった。

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