BAR Endymion


ネフまこ


「ぷはぁ~衛が入れたカクテルはやっぱ格別だぜ!疲れた体の五臓六腑に染み渡るわぁ~」
「相変わらず豪快に美味そうに呑むな?作り甲斐があるよ」
「だろ?衛の作るカクテルうめぇし、疲れが吹っ飛ぶんだよ!じゃんじゃん作ってくれよな!」
「あんまり呑みすぎんなよ?疲れた体じゃ酔いも回りやすいからな!」
「大丈夫だって!俺、強いから」

青年実業家として手広く会社を経営する勇人はハードスケジュールでとても忙しい毎日を送っていた。
だが、好きな事をしているから忙しい事が全く苦ではなかった。
実はそんな勇人のバックアップでBAR エンディミオンを経営していた衛は感謝をしていた。

「倒れられたりすると俺が色々困るからな…。程々にしろよ?」
「大丈夫だって!忙しい日々の中、この場所だけが唯一の癒しの場なんだ。ゆっくり飲ませてくれよ」
「勇人には感謝してるよ」
「どういたしまして、俺の為でもあるから気にすんなって!」

そう、勇人自身もこのBARは唯一の癒しの場で、つまりはウィンウィン。お互い助かっていた。

和やかにマスターの衛と談笑していた勇人だが、新たに入店してきたモデル並みのスタイルのいい女性に目を奪われる。
とても凛々しい体型とは裏腹に少し泣いているのか、化粧は崩れ、涙のあとがあった。
勇人は席に座った女性にマスターに急遽作って貰ったおすすめのカクテルを持って隣に座ると、話しかける。

「何か悲しい事でもあったのか?美しい顔が台無しだよ?」

店に入り、ホッとした女性は本格的に泣き崩れようとしていたが、勇人に話しかけられ涙が一時撤退した。

「あ、いや…好きな人に振られてしまって…」
「うっわぁー勿体ねぇ…。そいつ見る目ねぇんじゃねぇの?こんなにいい女なのに!まぁそのお陰で俺にチャンスが来たって訳だからありがとうと感謝すべきかな?あ、俺の名前は円城寺勇人。君の名は?」
「私は木野まこと」
「まこと、よろしくな!これは俺の奢り」

先程マスターに作って貰ったカクテルを慣れたように差し出す勇人をまことは圧倒された。

「ありがとう。私、ずっと振られ続けてて。背が高いせいで女として見れないとか…言われて」

まことは貰ったカクテルを飲みながら酔いに任せて泣きながら振られた愚痴を捲したてる。
それを勇人はただ黙って聞いてやる。

「モデル体型でいい身体だと思うけど、何がダメなんだろうな?俺は好きだぜ、背が高い女性」
「慰めで褒めてくれてても嬉しいよ、ありがとう」
「何言ってんだよ、俺は本音しか言わねぇ主義だ!だからさ、俺の彼女になってくれよ!惚れた!一目惚れ!幸せにするぜ?金は沢山持ってるからさ(金で釣る男ネフライト)」
「面白い奴~。根負けした。付き合うよ」

そして2人は夜の街に消えていった。

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