秘めた想い


side 四天王

いつからだろうか?
マスターの事をいえなくなったのは?

月の姫との度重なる逢瀬に、頭を抱える日々。

マスターが恋をする事には、悪い気はしていない。寧ろ、喜ばしい事で、応援している。

いつ、いかなる時もマスターと共にある。
寄り添いたい、支えたい。そう思っていた。勿論、今もそう思っている。

四天王の1人として、分かち合いたいと願っていた。

しかし、まさか自身も月の王国の戦士に想いを寄せる事になるなど、思いもしなかった。

こんな形で、マスターの気持ちに寄り添う事になるとは。

こんなにも苦しく、切ないとは思いもしなかった。

マスターはこんな想いを抱えながら、姫を愛し、逢瀬を繰り返していたのか。

マスターの手前、禁断の恋と言う事もあり、想いを言葉にする事は出来ない。そっと、秘めた想いだ。

しかし、その想いはどんどん膨らみ、大きくなる。
護衛が同じになると、柄にも無く心が踊る。
共に護衛が出来ると言う喜びと、この瞬間(とき)を共にしている事が、尊く感じる。

彼女はどう思っているのだろうか?
聞きたいと言う気持ちと、聞くのが怖い気持ちがせめぎ合う。

いや、気持ちを伝えるなど愚の骨頂。
この想いは、そっと心の中に閉まっておかなければならない。
だから、このままこの関係を維持するのがマスター直属の四天王としての意地か。

マスター直属の配下として、主人に仕える身として、本気の恋など御法度。
想いが伝えられない恋愛は、そう言った意味では運命だったのかもしれない。

互いに主君を護る立場で、境遇がとても似ている。そこも惹かれる要素だった。

互いの主君への想いは、近しいものがあった。似ていると思った。

だからこそ、惹かれてしまったのだろうと思う。

月の住人に恋をするなど、あってはならない
そう思いながらも、止められぬ想いが溢れてしまう
簡単に会えないと分かってるからこそ、想いが募る

今宵も月を見上げ、そこにいる想い人を思い浮かべる
今君は、そこで何をしている?
次はいつ会える?
地球は素敵な所だと思っていてくれたなら嬉しい

窓の外に映る月を横目に、暫く会う事の出来ない想い人を思い、王子の幸せを願いながら寝床に着くのであった




おわり

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