新婚さんいらっしゃい


クン美奈



「続いて3組目、参りましょう」

「新婚さんいらっしゃい」

「それではお名前とお年をどうぞ」

「愛野公斗、29歳」

「奥さん、どうぞ」

「美奈子、25歳」

「お仕事は?きっかけは?」

「仕事は国家公務員をしてます。東京タワーで喧嘩になったのがきっかけですね」

「1組目も似た様な事言うてたな?」

「うん、少女漫画の王道ラブコメの展開の出会い」

「そう、それ!……って、奥さんどっかで見た事あんなぁ?」

「私、アイドルやってて、愛野美奈子って言います。師匠とは大阪の番組で一度共演してます」

「ああ~!スペシャル番組やな?思い出したわ!全国ネットの番組も出てるの見たな。クイズ番組で珍回答繰り返してた子や!」

「そうです。よくご存知で」

「いやぁ、インパクトでかかったからなぁ」

「覚えてて下さって、嬉しいです。ありがとうございます」

「せやけど、アイドルが結婚して、しかもこんな番組に旦那さんと出て大丈夫なん?事務所とか、ファンとか、旦那さんとか。色々大変やろ?」

「アイドルは恋愛ご法度って言われてましたけど、時代が変わったので事務所も寛大に許してくれました」

「出演も?」

「長寿番組ですし、色んな人が見てる番組だし、出られるチャンス滅多に無いからって、爪痕残して来い!って結構ノリノリでOK出してくれました」

「まぁお陰様で51年やってますからね。ありがたいね。芸能事務所から是非と言われると嬉しいな。卒業最後の新婚カップルが2人で良かった」

「いや、まだ後1組残ってますよ」

「せやったな。最後の出演の新婚カップルの1組がっちゅう事で」

「そうですね」

「話は元に戻して、旦那さんは出て良かったん?」

「勝手に応募して、当たった。と事後報告だったので、仕方なく」

「大阪行けるから、食いだおれられるよ!って言ったらノリノリで快諾した癖に、素直じゃないなぁ……ったくぅ」

「バカ!余計な事は言わんでいい!」

「旦那さん、尻に敷かれてると言うか、上手いこと丸め込まれてますなぁ」

「食いだおれ、行くんだね」

「お互い忙しくて、中々旅行も行けないでいるので、大阪や京都を満喫しようかと」

「ええねぇ~。大阪も京都も観るとこ多いから楽しんで欲しいな」

「ファンは大丈夫なの?」

「せやった!そこが一番心配やで。結婚もやけど、旦那さんとラブラブしてる姿見せられたら嫌やろうし、殺害予告とか嫌がらせとかありそうやけど……」

「そこんとこは心配してないです!彼、めっちゃ強いんで、嫌がらせされても倒すと思います」

「嫌がらせされる前提か?」

「ファンは多いし、結婚発表で泣いたファンもいると思うから、避けては通れないかもね」

「やっぱりアイドルは大変やなぁ。まみちゃんも極秘で結婚してたしな?」

「ファンあっての仕事なので、気は使いますよね。でも、旦那さんが強いなら大丈夫かな?」

「はい」

「だからこの旦那さんを選んだんやな?」

「そうです」

「旦那さんは、奥さんの何処に惚れたん?」

「惚れたところ……ん~何処だろう?」

「いっぱいあるでしょ!」

「無い」

「あんた、マジで私のファンから殺害予告来るわよ」

「ただ、彼女といると楽しいし、知らない世界を知れるので面白いです」

「この人、根暗なんですよ~」

「旦那さん、奥さんに不満とかは無いですか?」

「家事が破滅的に下手で、中でも料理は終わってます」

「これはスラスラ出てきた」

「そんなに料理酷いの?」

「はい、原型をとどめてないばかりか、食えたもんじゃないです」

「じゃあ、家事は旦那さんがやってんの?」

「はい、それはもう慣れた手つきでテキパキと、ママのように」

「2人ともそうは見えへん。まみちゃん、料理上手いから教えてもらい」

「是非、教えて上げて下さい」

「私なんかで良ければ、是非。新婚さんいらっしゃいの番外編のスペシャル番組でやるとか面白そう」

「まみちゃん、あんた、ガメツイなぁ」

「せっかく奥さんアイドルだから、先輩アイドルから教える番組やれば、奥さんももっと知名度上がると思うし、私の株も上がるし、ウィンウィンだと思って」

「あんた、しっかりしてまんなぁ。どうや、奥さん?」

「是非!また大阪来ます。旦那連れて」

「俺もか?」

「ええやん!旦那さんも見守りやアシスタントで出てもらおう」

「まぁ、師匠がそう仰るなら」

「やったぁ~、一つ特番ゲットォ♪」

「ほな、またの共演、楽しみにしてんで」

「ありがとうございました」

END

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