新婚さんいらっしゃい


ゾイ亜美



「続いて2組目、参りましょう」

「新婚さんいらっしゃい」

「それではお名前とお年をどうぞ」

「水野彩都、28歳」

「奥さん、どうぞ」

「亜美、25歳」

「お仕事は?きっかけは?」

「仕事はピアノの先生をしてます。きっかけはテレビ局ですね」

「テレビにピアノ奏者として出演を?」

「まぁ、そんな感じです」

「奥さんは、何でテレビ局に?」

「番組の観覧に」

「旦那さんが出演する番組?元々ファンやったとか?」

「いえ、ファンでも何でもなくて、違う番組で。その頃は他に好きな人がいました」

「そうなんか?旦那さん、ご存知でした?」

「いえ、今初めて聞きました」

「その人とはどうなったん?」

「勉強でそれ所では無くなって……」

「それは残念やったなぁ」

「でも、この人に出会えたので勉強に追われてて良かったなって今では思ってます」

「そんなに勉強が大変だったの?」

「小さい頃から医者を目指していたので、勉強ばかりしてました」

「医者?そりゃあ又立派な夢やなぁ。で、なれたん?」

「はい、お陰様で」

「凄いなぁ~。奥さんも先生か」

「今はまだ研修医の下っ端ですけど」

「それでも立派な医者やで」

「本当、夢を叶えて凄い!」

「せやけど、何で付き合う事になったかは分からんままやな……」

「彼女、勉強ばかりしてたので、猛プッシュしましたね。何せ、頭脳明晰ですが、恋愛偏差値はほぼゼロで、ガードが固くて……」

「ほぅ、こちらは猛プッシュ」

「さっきはねぇ、相思相愛ですぐだって言ってたもんねぇ」

「しかも、中々発展もしなくて……手を繋ごうとしたり、キスしようとすると蕁麻疹が出る変わった体質で、苦労しましたよ」

「オヨヨ~、そんな体質初めて聞いたわ」

「私も~」

「それ、治ったん?もしかして、治す為に医者に?」

「小さい頃からの夢って言ってましたよ?」

「ああ、そうか。皮膚科志望かと思て」

「何とかマシになりました」

「そりゃあ、良かった」

「いやぁ、本当に大変でしたよ。そう言う雰囲気になると蕁麻疹が全体に出てきて、“痒い~”って」

「それは大変やなぁ」

「でも、彼女からだと大丈夫なんですよ」

「見かけによらず、積極的なんや?」

「いや、ハプニングで……」

「雷が怖くて、抱きついて泣いてきて。それが以外で可愛くて」

「へぇ~、ギャップ萌えって奴やな?」

「普通の女の子だなと思いましたね」

「奥さんは旦那さんの嫌な事とか困った事は無いの?」

「普段は女性言葉を話すのですが、そう言う雰囲気になる前くらいから徐々に男性言葉になるところですね。ズルいです」

「女性言葉を?そう言えば中性っぽい顔してはるもんなぁ」

「うん、綺麗」

「確かに黙ってたら女性と言われても疑わへんわ」

「男性からもモテるでしょう?」

「モテますね!男性からも女性からも」

「やっぱり?」

「でも、女が好きですし、奥さん一筋ですね」

「やかましいわ!」

「ありがとうございました」

END

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