外部家族SSログ



「またここにいらしたのね、スモールレディ!」

セーラーサターンとの修行を終えたセーラーカルテットは、スモールレディを探しに時空の扉へと来ていた。
呆れた発言をしたのはリーダーのセーラーセレスだ。
セーラープルートの存在を知ってからはよく一人で城を抜け出し、会いに時空の扉まで来ていた。

「お邪魔でしょう!さ、帰りますよ!」
「やだ!帰んない!」
「我儘言ってはいけません!」
「だって、プルート一人でこんな所にいるなんて、寂しいと思うの」
「言い訳すんな!」
「技を教えて貰ってたんだもん」

誰に似たのか生意気でずる賢いスモールレディは、カルテットが何を言っても屁理屈で返してくる始末。
やれプルートが寂しそうだ、やれ技を教えて貰っているだと次から次へと言い訳が出てくる。
そんなスモールレディの態度に、セーラーカルテットは皆頭を抱えていた。

「スモールレディは優しいですね」

クスリと微笑みながらプルートは喜んで言った。

「優しいのはプルート様です」
「そーだ、そーだ!」
「スモールレディを甘やかさないで下さい!」
「パラス達が怒られちゃうの〜」

事ある毎にプルートの元へと訪れるスモールレディ。それを許しているのは、他でもないプルートだった。
一人孤独に時空の扉の番人をしているプルートは訪問者がいるのは嬉しく、それが他の誰でもないスモールレディである事に喜んでいた。

「スモールレディの訪問は嬉しいわ」

プルートの元にはスモールレディだけでは無く色んな人が訪れるが、それは全てプルートを頼りにして助言や相談事が多かった。
その中でスモールレディはそう言った人達とは全く違う。プルートの癒しになっていた。

「邪魔はしてませんか?」
「ええ、大丈夫よ」

邪魔だと思った事は一度もなかった。
もしも邪魔であれば、プルート自身が注意をしている。こう見えて甘やかさないし、厳しい一面を持っている事をプルート自身も自覚していた。

「スモールレディの訪問は、私も心待ちにしているのよ」

だから気にしないでと優しく諭すと、カルテットはホッと胸をなで下ろした。

「それならば安心しました」
「私たちはもう行きますが、まだ修行があります」
「スモールレディをお任せしてもいいですか?」
「ええ、大丈夫よ」
「後でサターン様が来られると思います」

修行で忙しいカルテットに代わって時折サターンがスモールレディのお世話をしていた。
スモールレディはカルテットと同じくらいサターンに懐いていて、大好きだ。

「やった〜、サターンと遊べる〜」
「スモールレディ、サターン様にもご迷惑がかからないようにくれぐれも宜しくお願いしますからね!」

無邪気に喜ぶスモールレディとは正反対にサターンが怖いカルテットは強ばった。
いつかスモールレディが粗相をしてサターンに消される未来が来るのではと恐れていた。
そんなカルテットは楽しそうなスモールレディを横目に、時空の扉を離れて修行へと戻って行った。

「プルート、またあれやって!」
「スモールレディはアレがお好きですね、ふふ」

スモールレディにアレをせがまれてプルートは嬉しそうにガーネットロッドを構えた。

「アブラカダブラ〜」

ポンっと音を出して出てきたのは、色とりどりの色んな種類の花々。

「アブラカダブラ〜」

次に出てきたのはシャボン玉。
その次に出てきたのは風船。
次に出てきたのは虹。
プルートがアブラカダブラと唱える度にガーネットロッドからは色んなものが出てきた。
それはまるで魔法で、それを見るだけでスモールレディは楽しかった。

「スモールレディ、プルート!」

ちょうどサターンが到着して二人の名前を呼んだ頃だった。事件は起きたのだ。

「アバダケタブラ〜」

プルートが珍しくうっかり呪文を間違えてしまい、辺り一面に邪悪な光が広がった。

「プルート!それは死の呪文よ!」

そう、それは魔法界に伝わる非合法の魔法の一つ、死の呪文。その名の通り、その呪文を浴びたものは誰であれ死んでしまう。
サターンもプルートもタブーとして決して使わない呪文だ。

「いけない!」

プルートが気づいた時には既に遅かったが、誰にも呪文は当たらなかったので事なきを得た。
だが、死への案内人であるサターンにはその後、厳重注意を受けてしまう。暫くサターンの監視下に置かれたスモールレディは、プルートの元へ行くことを禁止されたのだった。




おわり

20241228


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