初めての雪遊び


いい匂いがしたのか、遊び疲れたのか、はたまた満足したのかタイミングよく家の中に入ってきたほたるとちびうさはみちるがシチューを作っているのに気づき喜ぶ。

「みちるママお手製のシチューだ」
「いい匂いだし、美味しそう」
「ちびうさちゃん、みちるママのシチューすっごく美味しいんだよ!」
「そうなの?すっごい楽しみ」
「その前にお風呂入ってらっしゃい。寒かったでしょ?雪の上にも寝そべったりして濡れてるだろうから風邪でも引いたら大変よ」

せつなに即され、素直にお風呂へ入りに行ったほたるとちびうさは風呂の中でも楽しそうに入っていて、歌声や会話が聞こえてくる。

お風呂から上がった2人は髪の毛を洗っており、それに気付いたはるかが乾かしてあげる。

2人が風呂に入って髪の毛を乾かしている間にみちるとせつなは2人でディナーの用意を終わらせていた。

「2人とも、夕飯ができたわよ」

みちるに呼ばれダイニングへ移動するとテーブルにはシチューだけでは無くほたるの好きな物ばかり並んでいるばかりか、グレープを始め外部カラーで彩られたフルーツのケーキが用意されていた。

「ほたる、誕生日おめでとう♪」

パァーンとクラッカーが鳴り、驚くほたる。
そこにダイニングに予め持って来ていたバイオリンでハッピーバースデーの曲を弾き始める。
それに合わせてはるかとみちるも歌い始めた。そこにちびうさも参加する。
その後も何曲か弾き語り、みちるママによるほたる誕生日会リサイタルが開催された。

4人に祝ってもらって感動で胸いっぱいになるほたる。
再転生してから急成長を遂げ、中々安定しなかったほたるは思えばこの日が初めての誕生日を祝ってもらう事に気づいた。
再転生前の事も勿論記憶にあるほたるは、毎年本当の父と母に祝って貰っていた事を思い出す。
母は事故死、父はその時のショックで異星人にその身を売り、最終的にはダイモーンとなりスーパーセーラームーンだったうさぎに殺された。
仕方の無い事だったから受け入れているし、戦士である以上どんな運命も乗り越え使命を全うすると誓っている。
再転生前の両親との思い出はとてもいい思い出として心の中で生き続けるし、今はせつな達が自分の育ての親で大切な家族と理解している。
幼い頃から色んな過酷な運命を乗り越えてきたほたるは誰より大人で、強く優しく大人びた所がある。

そんなほたるの久しぶりの誕生日を素敵な日にしたいとせつなは30世紀に帰っていたちびうさをクイーンとキングに事情を話し、許可を得て21世紀の現代に呼び出して、等身大の小学生として楽しく過ごして貰おうとはるか達と誕生日会を企てていた。

雪が降った事は予想外ではあったが、サプライズで誕生日会を用意するにはとてもいい演出で、雪で遊ぶ事が初めてだったほたるとちびうさにとっては最高の暇つぶしの遊びになったようで一日中遊んでいた。
もっともちびうさはせつな達から出来るだけ長くほたるを外に連れ出し遊んでこいとの使命を与えられていたが、結果として雪でそんな使命を忘れ一日中夢中になって遊んだのだが。

「ほたるちゃん、お誕生日おめでとう」
「ありがとうちびうさちゃん、ありがとうはるかパパ、みちるママ、せつなママ」
「夕飯食べようか?一日中遊んでお腹ぺこぺこだろ?」


グゥ〜ッ


言われるまで気づかなかったが、言われた途端お腹のラッパがなってお腹がとても空いていたことに気づき、用意されていたシチューに夢中で食らいつく2人は、普通の小学生の女の子そのものだった。

その姿を微笑ましく見守るはるか達だった。





END




2021.01.06

ほたるちゃん誕生日

2/2ページ
スキ