ヘヴィメタルパピヨンSSログ
「MY SOUL」
射手座♐️ゼロ・スター、ギャラクシアの城の中心。銀河中の全ての星が生まれ、そして全てが無くなる場所ーーーギャラクシー・コルドロン。
その近くに、死んだ星達を祀り、埋葬する墓地がある。そこを人知れず1人で守っているのが私、セーラーヘヴィメタルパピヨン。
死んだ星の欠片が流され辿り着く最後の地。
魂となり、やがて蝶となってヒラリヒラリと舞い、導かれる様にこちらに辿り着くセーラー戦士だった星々。
銀河へ散り行く蝶の葬列が途切れる事は決して無い。
宇宙広しと言えど、セーラー戦士だった星々を埋葬する場所はここにしかないから。
毎日毎日、どこかで戦いに身を焦がして散ってしまったセーラー戦士や、その役目を終えた星々がやって来る。
それだけ宇宙に星が多くあり、正当なるセーラー戦士がいるということ。
セーラー戦士だった彼女達を迎え入れ、立派に役割を果たした美しくも悲しく、誇らしい生涯に寄り添う。そして、一人一人の人生を想い、私は彼女達の代わりに歌う。
安らかに永眠れるように優しく、激しく。
そして、彼女達を想い、涙を流す。
この場所は、人知れずひっそりとここにある為、生きた人は滅多に来ない。いや、来られないと言った方が正しいか?
魂が蝶となった星々しか辿り着くことはない。
その為、埋葬された彼女達の墓を参る肉体を持った星々は滅多に来ない。
ひっそりと彼女達の魂を守る孤独の番人。彼女達の傷をたった一人で引き受けている。
この地へ導き、一人一人それぞれに美しい葬式を執り行う。そして、火葬して墓へと納骨してあげる。
それが私の魂の番人としての役割。
たった一人でこんな物騒な場所を守るなんて……
最初はそう思っていたし、孤独で寂しいと感じていた。
けれど、途切れる事無く導かれて来る蝶。埋葬後も語りかけて来る星々。彼女達のお陰で孤独や寂しさなど感じる暇はないのが現状。
手を合わせに来る人がいない分、私が魂の歌を歌い、歌声で彼女達を成仏に導いてあげている。とてもやりがいのある仕事よ。
楽しいとは言えないけれど、この地は私のステージ。そして、眠る星々がオーディエンス。永遠のオンステージで、ワンマンライブ!
私の歌声が響き渡る最高の場所。
その歌声に導かれる様に、命が潰えそうな蝶がヒラリヒラリと舞い込む。
セーラー戦士だった星々が死んだら蝶になる。たった数日だけだけれど、ここに来る為だけの宿り木。最期まで美しくありたいと願った先の形の蝶。
その蝶を正しく終わらせてあげるの。
生を閉じた後、その星々がどの様な運命を辿るのか?最期の審判を下す役割も私にはある。
地上で言う所の閻魔大王とでも思ってもらえればと思う。
まぁ、閻魔大王より容姿が美しいから、おぞましい印象は抱かないでしょうけれど。
孤独なこの地で私は色んな役目を持っている。そのどれも誇りを持ってずっと一人、頑張ってやって来た。
そして、これからもずっと。人知れず歌いながらこの墓地を守り生きて行く。星々がコルドロンから生まれる限り。
星々が生まれ、無くなる場所であるギャラクシー・コルドロン。その近くにその星々を埋葬する墓地がある。
皮肉な話だけれど、これもまた運命なのかも知れない。
星々の誕生を感じながら、死者を祀る。
転生輪廻。生々流転。生まれて生涯を終え、また生まれを繰り返す。耐えることは無い。
限りある命。セーラー戦士として星を守護に持ち、戦う宿命。命には限りがあるからこそ尊い。
この地を守りながら、命に寄り添っているからこそそう感じる。
けれど、この地を守る私には死に行く星々があるからこの命は永遠。終わる事は無い。
皮肉な話だけれど、もう運命はとっくに受け入れている。
やり甲斐を感じているから、私はこの先もずっと歌いながら最期を迎えた星々を待っているわ。
「だから、どうか星々よ。安らかに永眠して」
おわり