レテ・ムネモシュネSSログ
ーー私はただ、ムネモシュネと二人、平和と幸せを手に入れたかった
二人、平和な世界で幸せに暮らしたいだけだった
二人で幸せに暮らしていければそれでよかったーー
「レテ!!」
そう呼ばれてハッとなり、意識を取り戻した。
「ムネモシュネ!?どう……して?」
私たちはギャラクシアを裏切り、セーラーφとΧによって制裁されたはず。何故、生きているのだろう?
「驚いたでしょう?私たち、生きてるわ」
そう言ってムネモシュネは泣き笑顔で私に抱きついてきた。夢じゃ、ないんだね?
亡霊では無く、ちゃんと触れられる。
もう一度やり直せる。チャンスを貰ったって事?
「ブレスレットが……」
ギャラクシアに着いていくと決めた時に私たちのクリスタルと引き換えにはめられたブレスレットがない事に気づく。自由になれたの?
「うん、無くなってるの!」
泣きながらムネモシュネが喜びを爆発させる。
私と違って優しいから、ずっと辛かったのね。
ギャラクシアの手下としてクリスタルを奪う日々が。戦う事が……。
小さく貧しい星の私たちは、争いばかりで混沌としていて。平和や幸せなんて夢のまた夢。
力も無く、星を救う事も出来ない。
ギャラクシアが現れた時も、着いていくしか選択肢が無かった。
ギャラクシアの下に、平和も幸せもない事。それは百も承知だった。
それでも信じてた。いつか平和と幸せが訪れるって。
そうしないと生きていけなかった。心が保てなかった。
最大の敵、セーラームーンを倒せば平和も幸せも手に入る。そう思ってた。だけど違った。
「あたしを殺して」
この戦いを終わらせる為、ムネモシュネと二人だけの平和と幸せを手に入れる為。殺そうとしてセーラームーンにそうキッパリ言われてしまった。
戦いを終わらせる為に来たんだと。私たちと同じ目的でここに来たのだと。
揺るぎない決意でそう言われ、どこか吹っ切れてしまった。
こんな凛として言われると思っていたなかったから。
きっとセーラームーン自身も色んな修羅場を潜り抜けて来たのだろう。悲しい想いや、嫌な思いをして来たのだろう。
私たちには計り知れないほどの、十字架を背負っているのね。
「ギャラクシアは、消滅したの?」
ブレスレットが消えた意味すること。それは多分ギャラクシアの消滅。
「セーラームーンがギャラクシアを倒してくれたのかな?」
お互いに状況が分からない中、推測をする。
ギャラクシーコルドロンから再び蘇ったって事よね?
「ここは、私たちの星……よね?」
「だと思うわ」
いて座ゼロ・スターから母星に飛ばされて来たみたいだった。全てが元通り。
いいえ、一つだけ違う。
自分達の星かどうか、混乱していたのはあの時と様子が違っていたから。
「争ってないわね?」
「争いが無くなってるわね」
あれだけ貧しくて、来る日も来る日も人々が争っていて嫌気が差していたのに。今は穏やかで平和だった。
私たちが求めていた平和がそこにあった。
「幸せに、なれる……のね?」
「ええ、そうね!」
幸せに暮らしてゆける、平和が。理想の平和がそこに。
思えば、平和で幸せな暮らしを求め続ける人生だった。
生まれた時から貧しくて、争いばかりで。
平和を望んでいた。幸せに暮らせる平和を。
ムネモシュネと二人、求めていた平和と幸せ。それが今、目の前に広がっている。
「レテがいて」
「ムネモシュネがいる」
二人、こうして健やかに体を取り戻して、母星に戻って来た。
生まれ変わった目の前に広がる母星。平和な人々の笑顔。
私たちも自然と笑みが、幸せな笑顔が溢れる。
何を道を外すことがあっただろうか?
二人いれば、本当はどこでも幸せだったのだ。
例え平和では無くても、二人で幸せに暮らす事こそ平和がその後に着いてくる。
貧しい星のせいにしていただけ。
貧しい星のせいにして、幸せを築く事を諦め、放棄していただけだったんだ。そう気づいた。
「ムネモシュネ、これからは自分達で」
「ええ、レテ。平和が続く様に幸せを築きましょう」
そう、二人いればきっと大丈夫。
私たち二人が共に手を取り合えば、出来ないことなんて無い!
私たちは最強の双子星なんだからーー。
おわり
1/1ページ