再生ーReincarnationー


次に戻って来たのは、元いた場所。衛のマンションだった。

「無事、戻ってこられたね」

衛の部屋にいる事を確認したうさぎは、笑顔でそう言った。その言葉に、衛も四天王も安堵した。

「本当に蘇ることが出来るなんてな……」

最初に死んだジェダイトが、信じられないとまだ驚いている。

「マスターのゴールデン・クリスタルの力が強大なのかもね。あ、プリンセスの銀水晶がダメって話じゃないのよ?」
「くすくすっ分かってますって!あなた達、本当にまもちゃんの事が大好きなのね」

ゾイサイトの言葉に気を悪くするどころか、うさぎは衛のゴールデン・クリスタルですんなり蘇った四天王にそう言った。
その言に、四天王は照れくさそうにしていた。

「この部屋とも、今日でお別れか……」
「長居してしまい、申し訳ありませんでした」

名残惜しそうに呟くネフライトとは対象に、クンツァイトは冷静に礼儀正しく長く居候していたことを詫びた。

「いや、謝ってくれるなクンツァイト。俺の勝手で石のお前達を傍においていたんだ。ずっと傍にいてくれて、心強かった」
「いえ、何も出来ず見ているだけで……」
「色々相談に乗って貰った」

彼らの存在で衛はどれだけ心が楽になった事だろう。非力だと悩んでいた時、親身になって支えてくれた。
肉体的には役不足だったとしても、精神的な面では救われていた。

「これからも相談に乗ります!」
「敵が来た時は、体を張って守る事も出来るぜ」
「気持ちは嬉しいが、無理はしないでくれ」
「あなたに貰ったこの命、あなたのものです」
「昔も、そして今も。この命尽きるまで、あなたに捧げます」
「いや、その命はそれぞれお前達のものだ。そんなに重く考えないでくれ」
「本当だよ!みんな重い」
「それに、衛って呼んでくれ。いつまでも固くて肩こりそうだ」

蘇っても従者としての癖が抜けず、まだ四天王はマスター呼びの敬語だった。ただ一人、ネフライトを除いては。

「しかし、この格好では……」

今纏っている格好は、前世と同じ軍服だ。その為、中々敬語が抜けない。

「まぁ、徐々にでいいよ」

衛は諦めることにした。

「ここから出て、次に会うときは敬語抜きにしますよ」
「そうか」

ジェダイトからそう言われ、衛は漸くホッと一安心した。

「では、これで私たちはお暇しようかと思います」
「今までありがとうございました」
「そして、これからも宜しくお願いします」
「プリンセスも、ありがとうございます」
「あ、私の事もうさぎって呼んで!」
「御意!!!!」

衛と同様、うさぎも堅苦しい呼び方を嫌がった。
四天王は、元気よく即答したが先程の衛とのやり取りを見聞きしているだけに、先行きに不安が募る。

「まっすぐ家に帰るのか?帰る家はあるか?」
「私たちも普通の人間として今の地球に転生していますので」
「そうか。そう聞いて安心したよ」

後先を考えず蘇らせた衛は、急に余計なお世話をしたのではないかと不安になった。
しかし、四天王の衛と同じ様に普通の人間として暮らしていた過去がある事を知り、安堵した。

「俺は早速、ジュピターに会いに行くかな?」
「本当に待てないやつなんだな。俺はどうするかな。マーズだと仙台坂上かな?」
「マーキュリーは本屋か図書館かしら?」
「ヴィーナスだと、ゲームセンターか……」

みな、思い思いの場所を思い浮かべる。

「みんな!マーズ達も名前があるの。マーズは火野レイ、マーキュリーは水野亜美、ジュピターは木野まことでヴィーナスは愛野美奈子よ」
「くれぐれも戦士名は呼ぶなよ?」
「肝に銘じておきます」

約束はしたものの、やはり不安になる。

「後、私が関与した事もくれぐれも秘密でどうか、一つ!!!」
「あなたのことは言いませんから、ご安心下さい」
「最も、感の鋭い方たちですから、すぐに察するかとは思いますが」
「善処はしたいと思います」
「それでもバレたら、その時は甘んじて素直に怒られて下さい」
「……はい、そーします」
「では、マスター」
「そして、プリンセス」
「今までお世話になりました」
「そして、これからも末永く」
『宜しくお願いします』

四天王は、最後まで丁寧に挨拶をして衛のマンションから誇らしく出て行った。



四天王がそれぞれの想い人と出会い、恋に落ちるのはまた別の話。




おわり

20230422 アースデー





最後まで拝読ありがとうございましたm(*_ _)m
ようやく四天王を蘇らせる話を書けてとてもホッとしております(*^^*)
四天王はまもちゃんのクリスタルで、蘇らせる場所はエリュシオンでと言うのは創作を始めた時から決めておりました☺

話には反映出来ませんでしたが、四天王は星を守護に持っている訳では無い(翡翠だから)ので、ギャラクシーコルドロンから蘇ることはなさそうと言うのが私の考察です。

これでようやくスタートと言ったところです😂
とっくに四四が付き合っている設定で話を進めているので、出会い編~付き合う経緯までをまたそれぞれのCPで書くことが可能になり、創作の幅も広がりました☺

そしてもう一つ書きたい話があって、四四を第三者視点で内部四人の親友視点で書きたいなと思ってます😌
クン美奈だとひかるちゃん、ジェダレイだと琴乃部長、ネフまこだと宇奈月ちゃんと分かりやすくいますが、亜美ちゃんがおらず長年詰んでいる次第です😅‪‪塾の友達かな?

あとがきが長くなりましたが、ここまでお付き合い頂きありがとうございました😊

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