百億ボルト・ロックン・ルージュ


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オーディションの曲を決めてそれを極める為に来たはずのカラオケで、まさか負けず嫌いに火がついて対決する方向になるとは自分でも驚いてるけど、アイドルを目指すからには素人の歌が上手い人は突破しておきたいし、負けたくない!負ける訳にはいかないのよ!
それにしたって何故こんなに上手いのか本気で気になる。趣味なの?
色々と謎が多すぎて頭本気でついて行かない。

「ところで何でそんなに上手いの?カラオケとか歌うのが趣味なの?」
「付き合いでカラオケに行く事が多くてな。歌ってるうちに上手くなっただけだ」

嘘つけ!それだけで上手くなるものか?
趣味なんでしょ?歌うの好きなんでしょ?白状しろー!

「絶対嘘だぁ!歌うの好きなんでしょ?」
「どこからの自信だ。何故嘘なんかつかないといけないんだ?」
「付き合いだけで上手くなるなんてありえないもの」
「俺は器用なんだ。不器用なお前と一緒にするな」

何を~!器用で歌上手くなったら誰でも歌手になれるわよ!絶対、この対決で秘密を暴いてやるんだから!見てなさいよ!

でももしかしたら案外さっきの1曲だけ極めてて他の曲は全然、なんて事もあるんじゃないかな?なんて疑心暗鬼になって来る。化けの皮、剥がしてやるから待ってなさいよー!

採点機能とひとくちに言ってもいろんな種類があってそれだけで迷ってしまうし、対決って言ったものの何を基準に勝ち負け決めるかも分からない見切り発車で勢いだけで突っ走ってしまった。

「で、どう勝敗を決めるつもりだ?」

どうしようかと考えていると見透かしたように勝敗方法を聞いてくる君斗。
“どうせお前のことだろうから何考えず勢い任せで突っ走ってるんだろう?”って思ってるんでしょ?えぇ、そうよ!その通り、勢いだけで対決に持ち込もうとしてるわよ!悪い?(ただの被害妄想)

「今それをフル回転で考えてるんだからちょっと待っててよ」
「やはり何も考え無しだったか」
「うるさいわね!とりあえず無難に精密採点DXで行くわよ!文句は言わせないわ」
「お前がいいなら文句はない。歌う曲はどうする?」
「さっきの曲、もう1回歌うのはどう?」
「構わんが」
「よし、決まり!入れるわよ?」

精密採点DXを選び採点をスタートさせ、お互いもう一度最初に歌った歌を入れる。
図らずも80年代昭和歌謡対決が始まる。

まずはさっきと同じで私から先に歌う事になった。
さっきも割と本気歌いにはなっていたものの、喉が暖まってなかったから80%くらいの実力しか出していなくて多少は悔しい思いをしていたからリベンジ出来てありがたい。
本気の採点機能だからさっきよりも気合い入れて歌わなきゃ!
勝負曲って訳じゃないし、まだまだ喉は暖まってなんか無いけど、「抑揚」「しゃくり」「こぶし」「フォール」とかに注意しないと。
実質1曲目なんだから決着なんて付けるつもりないし、いい勝敗方法が決まるまでは手探りだから本気でも軽めに歌う事にした。
相手の出方も分からない以上、喉を潰さない程度に頑張ればいい。

色々思いながら曲が始まったから歌い始める。
今度は君斗を見習って私も立って歌う事にした。
お腹が圧迫されてない分、声が出しやすくてアイツが何で立って歌ってたのか理解出来た。今後も立って歌おうと決意した。
勝負していると思うと余計に闘志を燃やしてついつい本気歌いになってしまう。
きっと君斗もそうなるだろうと容易に予想はつく。
強いてはオーディションの為にも繋がるんだからオールオッケーよ!

歌い終わって点数を確認する。
画面の譜面通りに歌えていたからいい点数取れると思うけど、ドキドキするなぁ。
で、せーこちゃんのロックンルージュの点数の結果は“93.75点”だった。
うぅぅぅ~結構自信あったのに、機械厳しいぃ~汗

って落ち込んでる場合じゃない!
君斗が歌うわ。聞かなくっちゃ!
さっきのはまぐれかそれともマジか?
絶対!暴いてやるんだから、見てなさいよ!

歌い始めた君斗はやっぱり美声で上手かった。
今度は気持ちを持って行かれないように採点画面を凝視する事にした。
採点画面を見た事も結局後悔した。
譜面に合わせてくるわ上手いわで本当ムカつく。
で、肝心の点数はどうかしら?この採点機能中々手強いわよ?
…って“93.10点”?僅差で勝ったわ!
一瞬負けたかと思ったけど、一先ず買ったわ!

「惜しかったわね?」
「そうだな。まぁまだ始まったばかりだからな」
「そうね。しばらくこの採点機能使いましょう。この機械辛口だから勉強になるし」
「普通の勉強ももっと熱心にやってくれたらいいのにな」
「意地悪ねぇ…。兎に角!後4曲ずつこの採点機能で歌って高い点数の数が多い方が一勝よ」
「この他の採点機能も後から使って同じ様に5曲ずつ歌ってより高い点数が出たらまた一勝、これを繰り返す、それでいいか?」
「その通りよ!流石飲み込みが速いわね!」
「曲は何でもいのか?」
「そうねぇ…取り敢えずこの採点機能では自信ある曲にしましょう」
「了解だ」

一先ず対戦方法が決まった。性別が違う分、選ぶ曲は難しいけど自信ある曲で歌うなら文句は無いはず。まぁ君斗に私と同じくらいの持ち曲や自信ある曲があるかは知らないけど。
時間も3時間取ってあるからじっくり対戦出来るし、色々試していけばいい。
そう、対戦は始まったばかりなんだから、盛り上がっていくわよ~おー!

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