『HIGH PRESSURE』



「カラダを夏にシテ、カゲキに行くわよ！」

いつも以上のハイテンションで、楽しそうに美奈子が騒ぐ。
愛の女神で恋多き彼女曰く、夏を制する者だけが恋を制するんだとか。血が騒ぐと夏を前に、大騒ぎをしている。

「どう言う事だ？」

訳が分からない俺は、美奈子にそう問いかける。ろくな答えは返ってこないだろうと言う予想はついていたが……。

「夏はイベントが多いのよ！恋の季節なのよ！やりたい事が多いんだから、覚悟しなさいよね！」

そう言って、夏祭りに花火、海水浴にプールに遊園地、肝試し。そして、なんと言ってもバーゲン！
次から次へと夏の風物詩的なイベントを上げてくる。予感的中と言ったところか。
全てやるつもりでいるのかと思うと、憂鬱な気持ちになる。それではいけないと思い、前向きになろうと取り敢えず規則正しい生活を送ろうと決意した。

「先ずは海よ」

車を飛ばし、目的地を目指していると海を目指した標識と街ですれ違う。
海へ到着すると水着姿になり、泳いだりビーチバレーをしたり。砂で遊んだりと大はしゃぎの美奈子。
その姿を見ているだけで、言われるがままでも連れてきてやってよかったと改めて思った。

「日焼けしちゃったー」

嘆く美奈子を他所に俺は、水着の跡のヤラシサに見悶えていた。
なるほど、美奈子の言う通り夏は楽しい。
カラダが夏にナル。カゲキで最高だな。

「オイル塗ってー」

我慢する恋愛に慣れすぎたが、素肌の上で羽目を外しても良いだろうか？
本気をタテにして、未熟な革命。
夏を制する者だけが、恋を制するのだから覚悟を決める時が来たようだ。

「やっぱりあんたって優しいよね。面倒見もいいし」

傷付くことを避ける度言われてきた言葉。美奈子にも言われるとは思いもしなかった。
“躊躇”って漢字を自分を律するために書いてきたら、辞書なく書けるようになってしまった。それだけの奴だ。

「ただ真面目なだけだ」

この渚で美奈子と羽目を外すってのが1度くらいあっても良いとさえ思う。
カラダが夏にナル。カゲキで最高だ。
うっかり美奈子と俺の期待の楽園。
経験だけがものを言う。恋を制して人生観変えるのもまた一興か。

カラダを夏にスル……
不屈のEARLY SUMMER……！

カラダが夏にナルとは何とカゲキで最高な事か……。
ためらうことに慣れすぎた素肌の上で、経験値を上げるために一歩踏み出すか。
本気をタテにして経験値を上げろ。
夏を制する者だけが、恋を制するのだから漢になる覚悟を決めろ。

夏の力を借りて俺は漢としてこの夏、一皮剥ける覚悟をした。
なるほど、夏という季節は恋のシーズン。絶大なパワーを貰える。
美奈子の水着姿を見たせいもあるが、暑い事もある為、露出度が高い。
ありがとう、夏。




END

2022.07.01

T.M.Revolution／HIGH PRESSURE
発売から祝🎊丸25周年🎉